それを調べたカールトン大学の研究者たちは、その結果に驚いた。それはたったの50ミリ秒(20分の1秒)だったのだ。さらに、50ミリ秒で感じた魅力度は、その後しばらく閲覧した後の印象と大きく相関している。また、視覚的魅力度は、そのウェブサイトが興味深いか否か、わかりやすいか否かといった、ほかの要素とも大いに相関しているという。
研究者らは、確証バイアスが働いている第一印象のパワーを補強しているのではないかと考える。われわれの心は、一旦ある意見を形成すると、それに合致する情報を疑いもせずに受け入れ、相反する情報は否定する。宗教観や政治観など、長年抱いてきた信念は、確証バイアスが最も強く作用している例だ。ある政党に熱心に関わっている人と理性的な議論が続けられるか試してみると解る。
その人は、自分の信念に反する事実には片っ端からケチをつけたり否定したりするはずだ。つまり、ウェブサイトを閲覧する際も、最初の何分の1秒で形成された外観に対する意見が、そのまま閲覧者の意識に影響をおよぼし続けるらしい。もし最初の印象がよければ、少しぐらい欠点があっても気にしないでもらえるだろう。逆にパッと見が気に入ってもらえなければ、いくら時間がたってもその印象は覆すことは難しい。
人間の心理や行動のエキスパート、ドン・ノーマンも、違った観点からではあるが、同じ結論を導いている。彼は、著書『エモーショナル・デザイン...微笑を誘うモノたちのために』(新曜社)で、デザインを気に入ったユーザーは使い勝手もよいと感じるという研究結果を紹介している。これはニューロサイエンスや心理学に裏づけられているのだが、(嬉しく楽しい気持ちをもたらすようなデザインによって)肯定的な心理状態になったユーザーは、タスクをなんとか達成する方法を自ら編み出すのだとノーマンは説く。
第一印象が大切であるというこれらの研究結果は、確かに頷けるものである。ただし、ウェブサイトの場合は、閲覧者がどのルートでページを訪れるのか分からない。特に、コンテンツを売りにしているサイトの場合は、キーワード検索で入ってくることも多い。こうしたケースを考えると、一つひとつのコンテンツの魅力が印象を左右することになる。