買いたくなるディプレーにする

 スーパーマーケットのレジで、カートの中身をふと見ると、実に多彩なものが詰め込まれているのに気がつく。陳列の仕方も時代と共に変化するのは当然だが、あまりにもカテゴリーを無視して多彩な商品を並べてしまうのは問題である。意識下で不快感を抱かせる商品が、消費者の他の商品に対する意識を汚してしまうことがあるという研究結果がある。

 ラード、女性の生理用品、タバコ、猫のトイレの砂といった商品は、不快な反応を引き起こす。また、目立たないものでは、マヨネーズやショートニングなども当てはまる。デューク大学でマーケティングと心理学を教えるギャヴァン・フィリッツィモンスと、アリゾナ州立大学のマーケティング准教授アンドレア・モラレスは次のような実験を行った。

 前述のような商品がカートに入っていると、ほかの商品に対する消費者意識に影響を及ぼすことを検証したものである。実験はシンプルで、不快反応を起こすモノの隣に食品を陳列し、被験者に見せた。その後で被験者の意識調査をしたところ、不快反応を引き起こすアイテムの付近(1in.以下)にあった食べ物は、魅力が低く感じられることが解った。

 これは一時的な効果ではなかった。生理用品のパッケージに接触したクッキーを見た人は、1時間たっても、それを食べたがらない傾向があった。研究者たちは、この行動は、汚染された可能性のある食べ物を避けようとする人間の本能だと考える。中には奇妙な発見もあった。透明のパッケージに入っている無脂肪のせんべいがラードの容器に接触しているのを見た被験者たちは、そのせんべいの脂肪含有量を多く見積もった。

 パッケージが半透明だと、推定脂肪含有量も減った。透明の容器に入った製品は、潜在意識の中で汚染される危険性が最も高いようである。買い物客がモノをどのようにショッピングカートに入れるかは、マーケターにはコントロールできないし、ネガティブな連想がブランドイメージ、その商品に対する消費者の長期的評価が損なわれるとは考えにくい。

 しかし、透明なパッケージの、これまで知られていなかったマイナス面にも気をつけなければならない。透明な容器は、製品の実物が消費者によく見えてよいが、イメージ汚染の対象になりやすいようだ。薄暗い店舗や、掃除の行き届かない店舗では、透明容器に入った食べ物は、汚い環境が「うつって」いそう(潜在意識の中で)に見える危険性がある。