ときには女性の魅力を活用する

 女は男の頭を狂わせるのか?女性の写真が男性の意思決定に影響を与えることはわかっている。男性の頭が実際におかしくなるわけではないが、彼らはせっかちになり、目先の利益に集中するようになる。進化心理学者のマーゴ・ウイルソンとマーティン・デイリー(いずれもマクマスター大学)はこの現象を研究し、魅力的な女性の写真は男性を求愛モードにさせ、短期的な利益の方に価値を置かせるようになると結論づけた。

 ある巧みな実験が、魅力的な女性の写真がプライミング効果を発揮することを証明している。2人の研究者は、被験者が将来の利益をどの程度割り引くのかを評価した。われわれは皆、目先の利益や短期的な利益と比べて、将来の便益を割り引いて考えるが、これはもっともなことだ。今すぐ100ドルもらうか、2年待って105ドルもらうことを選ぶとすれば、ほとんどの人は今すぐ100ドルもらう方を選ぶ。

 この手の決断をする場合、割引率は人それぞれだ。集団としての男性は、女性より割引率が高い。つまり、男性は短期的な報酬を好む傾向に偏っている。ウイルソンとデイリーは、進化心理学によってこの違いを説明できると考えている。というのも、この学問分野は、女性は出産とその後の育児という現実があるため、男性より長い時間枠で活動するとの考え方を基本にしている。

 両研究者は、男女それぞれに、魅力的な異性と魅力的でない異性の写真を見せ、この仮説を検証した。すると、魅力的と判断される女性の写真を目にした男性は、割引率に著しい増加が見られた。つまり、短期の報酬により引かれるようになったのだ。他のグループは統計的に有意な変化を示さなかった。最近でも別の研究により、若い男性に求愛プライミングと好戦的本能との関連性が見られることが実証されている。

 魅力的な女性の写真が男性をプライミングし、戦争に関する画像や言葉にすばやく反応させる役割を果たしていた。これらの実験でよく見られたとおり、女性はこの手の画像に影響を受けなかった。男性は魅力的な女性の写真を見ると影響を受け、短期的な決定へ、衝動的な決定へと傾く。商品自体が顧客にとって適切な報酬となるなら、販促用品にそのような画像を組み込むことで、売上をさらに伸ばせる可能性がある。

 例えば、ブロッコリーなんかよりも衣料品や男性用化粧品の方が売り上げアップが期待できるはずだ。ウイルソンとデイリーの研究では特に金銭による報酬に注目したが、それは、ローン、保険、カジノといった商品にとっては最も大きな意味を持つが、生命保険や年金など、将来支払いを受けるために、現在持っているお金を費やす商品は、求愛の手がかりをプライミングすると、自分の持っている現金が将来もらえる報酬よりも価値があるように思え、逆効果になりかねない。