消費者から支持が得られるアイディアの条件

 消費者の関心を集めるのはなじみ深い日常的な消耗品である。また、自分で消費するだけではなくプレゼントにも適しているようなものであれば、リピート購入にもつながる。そして、大規模な既存市場があり、普遍的な魅力のある製品であることが望ましい。それは、市場に用途を説明したり、市場を新たに開拓する手間がなく販売できるからである。

 次に大事なことは、消費者を「あっと言わせる」斬新でおもしろく、消費者の要望に応えるものであり、同時に卓越したメリットが一見して理解できるものであることも欠かせない要素である。多くの消費者は、長年慣れ親しんだ定番の商品に手を出すものであるから、同じカテゴリー内にあって、そういう人たちの注目を集めるようなメリットが欲しい。

 それからもう一つ気を付けたいことは、比較的サイズが小さいものであることが望ましいということである。何故ならば、地価の高い売り場を商品が占拠するわけであるから、売り場の効率が悪ければ、ある程度売れたとしても結果的に投下資本に対する利益率が下がると判断され、小売店から敬遠されてしまい取り扱ってもらえないというリスクもある。

 こうした条件を総合して考えると、消費者の関心を集めるシンプルなアイディアを考える時、何を生かし何を犠牲にするかを念頭において発案しなければならないということになる。既存製品と小さな差異で勝負しようとするのであれば、製造も既存の技術や材料が活用でき、比較的簡単に製造でき、迅速に市場で売り出せることなども検討すべきである。

 そして最後に、アイディアの条件ではないが、留意しなければならない点は、アイディアの保護についての考え方についてである。大半の人は、アイディアを思いつくと、特許取得を考える。しかし、近年は特許取得にかなりの時間をようするうえ、既存の特許をうまく迂回してデザインすることが可能になっている。特許の要性を見極めるべきである。

 アイディアにただ乗りされる危険性もあるが、そのアイディアが卓越したものであればあるほど、いずれ類似品が開発される可能性もあると考えなければならないとすれば、その製品をできるだけ早く市場で売り出すことに全力を注ぐことの方が賢明な場合もある。もっとも重要なことは、迅速な製品化によって、十分な利益を早く生み出すことである。