成功する起業家の資質

 前項のテーマである「成功する起業法」では、起業に成功するための条件あるいはノウハウにスポットを当てて論述してきた。そのため、起業家の素質に関しては、臆病者であるかどうは起業の成功にはあまり関係がないばかりか、むしろ、それだけ慎重であるという要素は成功要因になるという観点を踏まえ、起業に成功するための手法を検討してきた。

 しかし、物事には向き不向きというものがあるので、成功する起業家に求められる素質というものがことも事実である。そこで、本項では起業家に欠かせない資質という面から、論述したい。ただし、ここで起業家として成功するために必要な素質や才能とは、生まれつき持っているものではなく、後で身に着けられるという考え方に立っているものである。

 その上で、敢えて起業家に求められる素質を挙げるならば、自分のアイディア、顧客、ビジネス、そのと仕事に対して情熱があることである。情熱があるということは、失敗やミスを犯した際も、困難にめげることなく根気強く立ち向かい、そこから学び成長する意気込みも持てるはずなので、情熱を持っていることがすべての素質の根源であるといえる。

 次に必要な素質は、独立心があり、創造性にあふれているということである。独立心とは、自分の意思で物事を取り仕切り、フリーに働きたいという強い願望を抱いているということである。その根底には、「行動力と責任感」「問題解決力」があり、「既存の枠組みにとらわれない考え方」や「不測の事態」を想定する能力も備わっているということである。

 これとは少し距離のある素質のよう見えるが、楽観的であり、リスクを恐れずに行動するというのも、成功した起業家に共通した素質である。これらは、「臆病者」と矛盾するように思えるかもしれないが、自分のアイディアに自信を持ち、起業する情熱があれば、臆病であっても、リスクを承知で行動を起こすタイミングを狙っているという意味である。

 そして最後は、偏見を持たず、ネットワークづくりがうまいことである。起業家は、未知の世界を受け入れる人間であるから、柔軟で、学び順応しながら進んでいく姿勢が必要である。その意味でも、人と人の結びつきを大事にし、人脈をつくることに積極的でなければならない。それは顧客や取引業者との関係づくりにも通じるスキルにもなるからだ。