リーダーの役割

 経営者は会社のビジョンを生み出すのか役目である。そして未来に向けたビジョンを掲げ、社員の士気を高めることである。そのため、有能な人材を発掘し、育成しなければならない。すなわち、優れたリーダーは、最高の人材を集め、高い目標を立て、やり甲斐をもたせ、チーム全体を目標達成に向け協働させるよう社員のモチベーションを高めている。

 目標達成のために協働するには、相互の助け合いが必要であるが、これは一見仕事の目標に焦点を置くことと矛盾しているように感じる場合がある。しかし、協働するとはまさに、個別の目標を達成することの積み重ねが組織の目標を達成することに繋がる分けであるから、なんら矛盾はないはずなのに、たまたま部門間においてコンフリクトが起こる。

 こうした状況に陥るのは、やはり、リーダーが示すビジョンをメンバーが十分に理解していないか、あるいは、組織が肥大しすぎて、全体目標よりも部門の目標を優先させてしまうことによるものである。下手に助け合いの精神を発揮すると、自分の目標を疎かにしているという評価を受けてしまうこともあり、思わず自粛してしまうという場合もある。

 ビジョンの達成とは、具体的には売上や利益目標の達成が含まれているが、本当の目的は顧客の満足である。このことを考えれば、顧客を大切にするということが、経営理念の根幹をなすはずであるから、そのために何を為すべきか、ということがすべての行動の出発点であり、そのための効率アップであり、品質向上であることを忘れては意味がない。

 顧客を大切にすることは、企業にとって当然のことであるが、現実は企業によってかなりの温度差を感じる。例えば、電話のベルが8回以上も鳴っているのに、誰も急いで受話器を取ろうとしない。もちろん状況にもよるが、こうした企業に限って「顧客第一主義」をスローガンに掲げている。これでは自分の都合を優先しているだけで、画餅に過ぎない。

 部下が上司の命令に従うのは当然だが、これはあくまでも職能による権限の行使であり、むやみに権限を振りかざしただけでは、共通の目標に向かって協働するためには不十分過ぎる。リーダーは、ビジョンを掲げるとともに、部下との間に信頼関係を築き、協調する姿勢を示すことが求められている。それがなければアイディアを実行することもできない。