したがって、起業家がビジネスを立ち上げようとする場合、最も重視すべきは優れた人材である。「優れた人材」とはどのような人材かについては、それぞれの企業の経営理念によって異なるから、まずはどんな人材を必要としているかを明確にし、少なくとも労働意欲の旺盛な人、ルールを守る人、使命感を持って顧客に対応できる人を採用すべきである。
そうした人材を求めるためには、まず、しっかりとした経営理念を示せることが前提である。問題を抱えている企業の多くは、経営理念を共有していないことが多い。ひどい場合には、文言により経営理念は謳われているものの、実質的には無いに等しい企業さえ見受けられる。そして、ここにトラブルの原点があるということに誰一人気づいていない。
企業は社長の器より大きく成れないとよく言われるのは、この辺に理由があるのかも知れない。さらに、この言葉を裏づける現象もよく見られる。それは、経営者よりも優れている人材を採用しない傾向がある。ある企業などでは、自分が高卒なので大卒は採用しないようにしている。まさに器の小ささを如実に物語っている典型的な姿が垣間見られる。
そのくせ、わが社には人材がいないと嘆き、そのことがさらに社員の士気を低下させている。これからの起業家は、自分のアイディアに自信を持っていて、それが社会と企業に貢献できるという自負があるのであれば、経営理念を堂々と披露し、その実現に向かって共に働く意欲がある人であれば、学歴などを尺度にした採用基準を設けるべきではない。
自分一人ではなしどけられないので、人材を求めているわけであるから、優れた人材であればあるほど結構なことである。そうした意味でも、知人友人を初めとする人脈を有効に活用し、情報網を広げるべきである。そして、出会えた人材に対し、経営理念やビジョンを熱く語り、厚く待遇することも申し添え、ミスマッチが起こらないように注意する。