失敗しやすい起業

 一般的によく言われるのは、起業家はリスクを恐れないということである。アイディアがしっかりしたものであれば、私財を投げ打って勝負に出る。その結果が大成功に結びつけば、一躍大起業家として賞賛される。そうした起業家も確かに存在するが、成功した起業家全員がそうした無謀な賭けにでてビジネスを成功させたわけではないのも事実である。

 不安を抱えている起業家は、アイディアには自信があるものの、資金調達、優秀な人材集め、マーケティング、市場調査など多くの課題を抱えている。そして、何よりも心配なのは、当面の生活をどのようにして安定させていくかということである。こうした夢と現実の狭間で悩み抜いた揚句、見切り発車をしてしまうというケースが多いように思われる。

 その証拠になるかどうかは定かではないが、サラリーマンを続けながら土・日だけ営業をする週末企業が静かなブームなっている。この場合は、確かに現状の生活は保障されるので、本格的に起業するよりリスクは少ないがゼロではない。第一、今勤めている会社がこれを認めてくれるかどうかもわからない。内密にやるとしても別の意味でリスクがある。

 さらに、サイドビジネスをこなすための必要なことは、自己管理力、やり抜く信念、二重業務をこなすハードワーク、そして何よりも家族の理解と協力である。こうした課題を家族とじっくり話し合い、リスクをできるだけ軽減することが先決である。こうした向き合い方ができるのも臆病者の特権であり、勇気ある起業家はリスクを先送りしてしまう。

 さて、サイドビジネスの場合は特にそうであるが、ビジネスの中核となるアイディアは自分の良く知っている業種に関連したビジネスであることが無難である。つまり、これまでの自分のキャリアが十分に活かせる分野を土台にすることである。何故ならば、既存の市場がどんな製品を求めているのか、何に不満を持っているのかが一番見えるからである。

 マーケティングでは、最少の差異化という概念があるが、これは全く新しい機能を持った製品は、すぐには消費者に受け入れられないという経験則に則っている。すなわち、あまりにも画期的な新製品にはすぐに飛びつかず、少し様子見をする傾向が強いので、投下した資本の回収速度が遅くなることが懸念される。そのため小さな差異が狙い目になる。