カスタマージャーニーが注目されるようになった背景には、情報テクノロジーの発展に伴って、顧客自身がインターネット上で情報検索したり、情報発信を行ったりするようになり、情報接続行動が受動的なものから、能動的なものへと大きく変容したことに加え、テクノロジーの進展によって、カスタマージーニーの可視化が容易になったことである。
すなわち、Web連動のデジタルマーケティング施策やIoTによる行動可視化によって活動機会が広がっている。具体的には、こうした消費者行動の流れを図式化したものが、カスタマージャーニーマップと呼ばれている。これを活用してカスタマージーニーを検討することにより、顧客目線に立ったマーケティング発想が可能となることが期待されている。
カスタマージャーニーマップは、顧客の購買行動の流れに沿って、顧客の「行動」「思考」「感情」を明確にプロットしたものである。マップ化することで顧客の行動の全体像が俯瞰できる。顧客の行動を目に見える形に落とし込み、どうすればペルソナの体験(カスタマーエクスペリエンス)が向上するか、ということに主眼を置いて活用されるものである。
カスタマージャーニーマップを作る最大のメリットは、チームの共通認識を構築されることである。文字だけの情報でなく図式化されていることで、複数の人が短時間で直感的に理解できる。マーケターはもとより、すべての社員にとって、自分たちの顧客について理解しやすくなる。また、チームでマーケティング施策を運用する場合もスムーズになる。
具体的に施策を考えるには、数字の認識だけでは不十分である。カスタマージャーニーマップを作成する作業自体が、顧客目線でものを見ることの実践にもなる。ペルソナが何を考えているのか、どのような情報を求めているのか、闇雲に予想するだけでは判断が遅れる。マップがあれば、顧客行動の仮説を共有でき、チャネルの優先順位が円滑に定まる。