統合型マーケティング・コミュニケーション

  統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC:Integrated Marketing Communication)とは、情報の受け手となる顧客にとって、最適な組み合わせになるように様々なコミュニケーションを融合させ、マーケティング・コミュニケーション効果を最大化しようとする考え方のことである。製品やブランドの価値を伝えるために、顧客購買行動における購買前、購入時、購入後の顧客接点すべてがマーケティング・コミュニケーションに活用される。

 新聞・雑誌・ラジオ・テレビなどのマスメディアによる広告、電話、FAXE-mailDMWebサイト、CGMSNS、店頭、パッケージ、POP、販売員、カスタマーサポート、といったような、あらゆる顧客接点において、企業・ブランドとして伝えたい統合化されたメッセージを発信することにより、製品や企業に対する理解を高めることが目標となる。

 IMCにおいて、顧客とどのような接点を持つことができるかを理解しておくことが重要である。自社が採用できる手法を起点としてマーケティング・コミュニケーションを考えても、効果的なIMC戦略となることは難しい。そのため、顧客のメディア接触、情報検索行動・経路、購買スポットを起点として、効率的コミュニケーションができる環境を整え、顧客視点に立ったコミュニケーションプランを策定することが望ましい。

 シニア層をターゲットとした効果的なICM展開事例として、新聞折り込みとテレビCMそしてカスタマーサービスを活用した手法がある。新聞折り込みチラシを入れておき、その日に放送されるテレビCMに「詳しくは本日のチラシで!」というワンフレーズを入れることで、シニア層の情報検索行動を促し、その後、電話による問い合わせがあった際には、カスタマーサポートによる顧客コミュニケーションを展開する手法である。

 それぞれが独立して、シニア層に届きやすい特性をもつとされるコミュニケーションを、顧客の視点に立って効果的に組み合わせることで、単独で展開する以上の効果を得ることが期待できる。また、一連のコミュニケーションにおいて、一貫したメッセージを伝えることができれば、製品やブランドの計画などのイメージを顧客に伝えることができ、ブランドアイディンティティを示すことも可能となる。

 徹底したIMCによって、すべてのマーケティング・コミュニケーションに一貫性と継続性を保ち、長期的に顧客の支持を醸成することで、ブランドの世界観やイメージを顧客の中に形成することができる。IMC戦略を実践するにあたって、成功のカギとなるのが、前述のような「マーケット・イン思考」と、これに基づいた「戦略と戦術の統合」である。