権威の影響力

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 人が行動するのは何らかの動機がある。その動機は、のどが渇いたとか空腹を感じたというような生理理的要因による場合と、心理的・社会的要因によることがある。後者による動機は権威による影響を受け易い。権威とは、学校の先生あるいは著名な学者、議員などが持っている社会的信頼性で、人を説得する場合でもその威力が発揮されることが多い。

 社会的証明の原理や平均の引力も人の行動を左右するという意味では、権威と似たような影響力があるが、これらは物事の実態や状況を表しているのに対して、権威は人の属性や組織上のルール、政治、法律などで、社会生活を営むうえで必ず影響を受けるものである。すなわち、我々は権威に従うことで社会生活を円滑にしているといえるかも知れない。

 このように、権威によって固められた社会の中で生きていると、いつしか、それが当たり前であると考えるようになり、人はその権威に盲従するようになってしまう。例えば、会社の上司には逆らうべきではないということで、自分を納得させてしまうなどがそれである。このような権威の影響力はマーケティングでもよく利用され、威力を発揮している。

 テレビショッピングなどでも、ある商品をPRする際、「女優の○○さんも使用(愛用)しています。」などというフレーズが良く登場するが、それ以上に効果があるのは、パブリシティ(新聞やマスコミなどで取り上げてもらう)である。この場合、自前で用意したタレントよりも、権威という点では信用力が高まるため、商品の力を後押しするからである。

 ビジネスで説得力のある権威を獲得しようとする方法は、高度の専門性をもった資格(医者、弁護士、博士号など)を取得し、高度な専門性を有していることなどである。また、営業担当者であれば、その商品を取り扱うに相応しい身だしなみなども権威を引き出す材料になる。ただし、こうした権威性の強さは形式要件に拘るためある種の危うさもある。

 また、権威に盲従するという性質は、時に大きな誤解を招くこともある。私は長い間、漁業経営のコンサルティングを行ってきたが、有識者会議が開催されると、決まって水産資源学の教授が招かれるのが通例であった。しかし、そこでの主題はマネジメントに関するものであったから、発言する機会がなく、かえって権威を傷つけているように思われた。