動機は消費意思決定のプロセスに長期的に働く場合と短期的に働く場合がある。長期的な動機として、広域的問題解決モデルで動機は探索行動と注意行動に影響するだけでなく、商品ベネフィットに重要な重みづけをする役割を果たす。この意味では長期的動機づけとは価値(Value)とほぼ同じである。短期的動機は感情に影響することで、探索・注意・記憶の各活動に影響を与える。
例えば、低関与の広告情報処理でいえば、感情はより高い注意、より多くの情報処理、メッセージのより好意的な判断、より強い広告を想起する、より広告を好きになる、などの具体的な影響を及ぼすのである。ここで関与とは、動機の心理的結果のことであり、動機づけられた消費者は興味や興奮や情熱を感じる。こうした感情が動機の結果として感じられることが関与である。
それでは、動機はどのような過程を経て機能するのだろうか。まず、1)外部から入ってきた刺激が動因や覚醒をもたらす。この場合覚醒は自動的・生理的(例:急に何かに出会いびっくりする)、感情的(例:ドラマを見て悲しい)、認知的(例:難しい問題にぶつかって考え込む)なもののどれかである。2)次の段階は目的的行動をとろうとする、あるいは3)すぐに行動する、のどちらかである。さらに、4)活動の結果、新しい経験をする、また満足を感じるという結果が生じる。この4)の結果が1)にフィードバックされて刺激に対する反応の変化として現れる。
消費者が購買決定しようとするとき、二つの選択(動機)の間で葛藤(コンフリクト)が生じ、選択に迷うことがある。このような選択の間での葛藤は次の3つの種類に分けられる。1)接近...接近の葛藤、2)接近...回避の葛藤、3)回避...回避の葛藤である。1) 接近...接近の葛藤とは、二つの望ましい選択の間で迷う場合である。例えば、食べたいものが二種類あり、どちらにしようか迷う場合である。
こうした場合、消費者は認知的不協和音を感じ、これから生じた不愉快な心理状態を解決したいと願うようになる。認知的不協和音は人の態度や行動を矛盾なく一貫したものにしたいという傾向性から生じる、自分の信念や行動が相互に矛盾すると心理的に緊張を感じることである。このような場合、消費者は一方を選択する追加の理由を探し出したり、一方に欠陥を見出すことでそちらを忌避する。
2) 接近...回避の葛藤では、ある選択をしたいのだが、そこから生じる負の結果について懸念する場合である。例えば、甘いデザートを選びたいのだが,カロリーが気になり選択を躊躇する場合である。このような場合、マーケターは「カロリーが少ないデザート」を提供することによって、このような「罪悪感」を解消しようとする。
3) 回避...回避の葛藤とは、どちらの選択肢を選んでも負の結果が予想されるような場合である。例えば、ガン保険に加入して保険料を払うか、あるいは保険なしで過ごすか選択を迫られる場合がこれにあたる。消費者はどちらかの選択にさらにベネフィットを見出して選択を行う。例えば、このガン保険に入れば、家族全員が同じ保険でカバーされるベネフィットを評価する。