動機

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
 消費者が買い物をする原因は動機と呼ばれる。動機とニーズとは文献などではほぼ同じような意味で用いられている傾向があり、どちらも消費者行動の目的となる。しかし、さまざまある動機の一つの要素であって、特に行動を発現させる内的状況として区別して用いられる傾向があるが、これに対して動機は行動の発現と維持の理由として用いられる概念である。つまり、ニーズだけでは行動は起きないが、行動が起こるときはニーズに誘引(欲求の対象)が加わり、ニーズと誘引の二つが作用して動機を形成することになる。

 それでは動機とはいったい何なのだろうか。動機は内的刺激であり、かつ「目標対象に向けて消費者に行動を促す動因や覚醒の状況」と定義できる(ShethMittal& Newman)。ここで動因とは緊張を減少させるよう消費者を活動させるような内的状況のことである。これは消費者が内的に緊張を感じると不快に感じるためであり、動因や覚醒は消費者に活動のためのエネルギーを与える。目標対象は正あるいは負の値をもっている。

 動因理論では、人間の行動を生物的なニーズとして説明する(Solomon)。つまり、消費者は不愉快な覚醒によって生じた緊張を減少させるべく活動する存在である。この緊張を減少させ均衡のとれた状態に戻す目的的活動のことをホメオスタシスと呼ぶ。しかし、動因理論では必ずしも消費者の行動のすべてを説明することはできない。例えば、消費者はわざと満足を延期することがありうる。

 これに対して期待理論はでは、生物的なニーズの代わりに認知的要因に着目している。期待理論によれば、消費者は望ましい結果を得られることを期待して行動することになる。また、モチペーションリサーチの中心人物として1960年代まで社会的注目を集めたディビターの方法は、まず消費者に関連する重要な動機づけを見つけ、さらに、調査対象品目がどのように動機を満足させるかを発見することであった。

 例えば、録音機は持ち主の社会的能力ニーズを満足させるとされ、自転車は子供への愛情ニーズを満足させるものである、と解釈された。ディビターは、次のように12の種類の消費者動機をリストにしている。1)力・男性・力強さ、2)安全性、3)エロティシズム、4)道徳的純粋性・清浄性、5)社会的受容性、6)個人性、7)ステータス、8)女性性、9)報酬、10)環境の統制力、11)反疎外、12)魔術的統制力。

 こうした考察は、ジャーナリステックな関心を呼んだものの、必ずしも科学的な方法とは言い難いために、モチベーション・リサーチは次第に省みられなくなった。しかし動機を探索する作業はマーケターにとり必要な作業と考えられ、消費動機を心理学的な理論を用いて明らかにする試みが引き続き行われている。