心理学者の河合隼雄氏は、精神科医で心理学者のカール・グスタフ・ユングの考え方をもとに、無意識の特徴を観察している。それによると人間の無意識の層は、その個人の生活と関連した個人的無意識と、他の人間とも共通に普遍性をもつ普遍的無意識とに分けて考えられるとしており、無意識は顕在意識に対して補償性があるという点を強調している。
個人的無意識とは、何らかの方法で心に残された感覚的な痕跡の内容からなるものであり、次に普遍的無意識とは、個人的に獲得されたものではなく、生来的なもので、人類一般に普遍的なもので、ある家族に特徴的な家族意識や、ある文化圏に共通に存在する文化的意識などが考えられるとしている。ユングはこれらを総称して普遍的意識と呼んでいる。
このように、無意識の中でも階層構造が存在し、個人的に獲得された無意識と、普遍的に備わった無意識に分類することができる。その中でも、普遍的無意識は深層部に存在するとされており、人々は普段意識していない領域であるため、抽出するのは困難であるといえる。しかし、消費者の真のニーズを発見するには、この無意識の解明が不可欠である。
すなわち、心の構造は、表層的意識、個人的無意識、普遍的無意識(家族的無意識、文化的無意識)と層をなしているということであるから、個人の遥か昔の経験や何度も繰り返された経験が製品やブランドの記憶が重要な手がかりとなる。一方普遍的な意識は、家族の特徴的な出来事やある文化圏に共通する文化的な背景を探るべきだと考えられている。