人の「深層心理」は自分でも意識していないが、行動には何らかの影響を及ぼしているはずである。したがって、表層心理だけを手がかりして商品開発やマーケティングを展開しても、必ず売れるという保証はないわけである。しかし、心の中でニーズが発生しているからこそ、行動を起こすことは間違いとすれば、深層心理はどう影響しているのだろう。
深層心理とは、心の奥に隠されていて、それは「無意識」あるいは「潜在意識」と呼ばれている自ら意識できない心理であるある。「深層心理」は普段は意識されていないが、時々意識が顕在化することもある。それは刺激を知覚した時、感情を知覚した時、意識して行動した時、ニーズが発生した時、満足を味わった時、思い出した時、考えている時である。
このように、全体の意識の中で「深層心理」は大部分を占め、普段は気づかれないものである。したがって、消費者の真のニーズを読み取るには、「顕在化したニーズ(表層心理)」を知るだけでは全く不十分であるということになる。しかし、逆に言えば、「深層心理」が「顕在意識」に大きく関わっていると見ることもできるので、推測できる可能性はある。
例えば、「深層心理」自体を把握できないとしても、人は「顕在化した意識」によって行動を起こすことは間違いないわけであるから、「野球をしたい」「焼肉を食べたい」「旅行に行きたい」といった顕在化した意識の深層には、何らかの「深層心理」が関わっていることになるに違いないと考えれば、かなりのヒントが見えてくることは想像できそうである。
これらの行動に移る前提として、人は消費行動に限らず、自分が現在おかれている状況に照らし合わせて、最も相応しい(実現可能性のある)行動をとるための情報を収集し選択をする。こうした衝動は誰にでも起こることを理屈抜きに知っている。それは、たぶん「生命を維持しようとする意識」、「幸せを求める意識」が根底にあるからだと推測される。
また、別の角度から考えても、人が行動を起こすには、必ず動機が必要で、それば、「ストレスを解消しようとするとき」と「自主的に何かをしようとするとき」である。前者は外的要因であり、後者は内的要因である。これこそが深層心理のエンジンではないだろうか。ここにアンバランスを感じたとき、これを解消するため本能が反応するわけである。