CaLit2で築かれたコミュニティー(合意その2)

 CaLit2の目的に関する合意が定まると、スマーは各学部から集まってもらった研究者たちとともに、次のステップに進んだ。それは意思決定の権限を明らかにする統治構造を築くことと、共同作業のルールや資源の使い方を定める参加規則を作ることだった。統治構造を築くにあたっては、幅広い意見を取り入れた意思決定を促すことを目的とした。

 まず、サンディエゴ校、アーバイン校それぞれに、各校の部長をリーダーとする部門ごとの審議会が設置された。また、CaLit2内部と外部の委員会も設けられた。内部の運営員会は、学部長と副学長で構成され、CaLit2が破天荒な試みが大学のシステムに悪影響を及ぼさないように目を光らせる役目だった。外部の委員会は諮問委員会である。

 諮問委員会は、官民から選ばれた著名人で構成され、CaLit2の将来の方向性や、長期的な戦略や、資金調達の方法について話し合った。運営委員会の最初の会合は長時間に及ぶことがたびたびあり、あまりに長い議論に苛立つ委員がいることは解っていたが、スマーは全ての委員に意見を述べてもらい、一切不公平が生まれないようにしたかった。

 みんなにCaLit2の責任ある一員になってもらうには、自分の意見がコミュニティーに反映されていると感じてもらう必要があった。特に従来の区分である学部や研究科などに従って、垣根が生まれることは避けたかった。大学の各部門にはそれぞれに異なる優先事項や問題がある。そのせいでCaLit2の絆が断たれるのを防ぐには、本人の言葉を用いるなら「条件付きの総意」だった。つまり、創造的な解決であったということだ。

 参加規則では、費用の分担のしかた、最先端設備の使用料、設備の管理方法が定められた。また、研究者たちに、広く普及しているIT機器や、フリーソフトウェアを活用することも勧めた。それは経費の節約にもなるほか、アイディアの流布にもつながり、創造的な敏速さを高めるうえでも役立った。ただし、合意に至るまでに1年以上かかったという。

 しかし、「その過程が、研究者間のコラボレーションの下準備にもなった」と、この設立準備に最初から携わったある研究者は述べている。調査したリーダーたちと同じように、スマーとそのチームも、コミュニティー意識を育めるかどうかは、物理的な職場環境にも左右されると考えていた。スマーたちが望んだのは、最先端の研究設備が揃っているだけなく、知識が広まりやすく、顔を合わせる機会が多く、大発見につながる出会いが生まれやすい施設だった。