共同研究の媒介役CaLit2

 CaLit2(カルアイティーツー:カルフォルニア通信情報研究所)は、通常の研究機関の枠組みの外に研究環境を築くことで、複数の学部間や大学間の連携を必要とする複雑な巨大プロジェクトを、研究者たちが速やかに実行できるようにすることだった。CaLit2を通せば、世界中から協力者を得ることができた。グローバルな企業や産業とも、地域や州の政府とも、他の大学や研究機関の研究機関とも協力できた。

 この研究所は、カルフォルニア大学サンディゴ校と同アーバイン校の学長がパートナーになり、設立されたものである。物理学の博士でもあり、国立スーパーコンピュータ応用研究所(NCSA)の設立にも携わり、その所長を務めたラリー・スマーは、ここの所長への就任を打診された。そして、スマーはこのCaLit2の構想に興味を引かれた。

 異分野の研究者がともに研究に取り組むことで、素晴らしいイノベーションが生まれることは、自らNCSA時代に経験していた。今日の複雑化した問題やチャンスに対処するには、コラボレーション方式による研究やイノベーションが適していると考えていた。CaLit2は丁度そのコラボレーション方式を探究し、発展させる場になりそうだった。

 二校の協力で「どんな問題に対しても、専門家のチームを編成する」ことができると、スマーは考えた。そうすれば、医療、エネルギー、気候変動、水資源、デジタル文化と言った分野で生じている21世紀の大きな問題の解決にも「ユニークで顕著な貢献」ができそうだ。また近年疎かになっている長期的研究の穴を埋める責任を大学が果たせると感じた。

 CaLit2の舵取りは大変であることは想像できた。如何にして学際的なプロジェクトの価値を教員たちに解ってもらうかだ。「わたしたちは基本的には破壊者です」。とスマーは話している。「カルフォルニア大学の二校の別々のキャンパスにある24の学部と数多くの研究科を横断する機関であり、なおかつ大学のほとんどの部門よりも素早く動けます」。

 CaLit2が工学、物理学、デジタルアート、薬学、公衆衛生、生物学、行動科学、社会学といった学問分野を横断した共同研究の媒体役を果たすには、独立心の強い研究者たちに、自発的にコラボレーションに取り組ませることが必要である。参加を求める正式の権限を持たないスマーは、研究者たちに共同研究に加わってもらうには、その興味と情熱をかき立てる必要があった。