発展型の学習を育む

イノベーションにコラボレーションが不可欠であることは、天才の一片を組み合わせて、集合天才生み出すことで、それがリーダーの役割であると、筆者たちは考えている。つまり、個人の努力と個人の努力をコラボレーションによってつなぐには、組織の環境とリーダーシップ次第であるというわけであるが、その環境とはいかなるものなのであろうか。

イノベーションはたいてい、長期にわたる実験的な試みと、試行錯誤の繰り返しから生まれるものであ。本当に素晴らしいアイディアは最初から完璧な形で閃くものだというのは誤解であり、普通はもっと混沌としたプロセスを辿るものである。イノベーションは問題解決のプロセスであり、アイディアを試しながら解決策を見つけようとするものである。

問題が複雑であれば、問題を正しく理解することに時間をかけることもある。したがって、イノベーションのプロセスは、イノベーションに熟達した人ですら、途中で自信を失いそうになるほど、長い試行錯誤の連続になる。例えば、トーマス・エジソンはひたすら単純作業を繰り返した。それが「1%の閃きと99%の努力」という発明の定義になった。

つまり、失敗や行き詰まり、やり直しは避けられないものであり、受け入れなくてはならない。むしろ積極的に繰り返すべきである。イノベーションには、試し、学び、修正し、ふたたび試そうとする姿勢が欠かせない。もしも失敗をしなくなったら、最先端の仕事をしようとする情熱が失われた証拠だと、あのピクサーのCEOキャットマルはいっている。

研究者の中には、アイディアの創出と実行は区別すべきだという主張をする人もいる。それは確かに一理ある。アイディアが生み出されてはじめて、試行錯誤が可能になるのだからであ。しかし、ひとたびアイディアを試す実験が始まると、そのような区別は意味を持たなくなる。アイディアから実験が生まれ、実験からさらにアイディアが生まれていく。

  このように、アイディアの創出と実行の間には切れ目がなくなるから、これを区別する必要性も極めて薄くなる筈である。それよりもむしろ、アイディアを創出し、実験する風土を構築し、育てることの方がはるかに重要である。これが筆者たちのいう「発見型の学習を育む」ということで、その環境を整えるのがリーダーの役割ということのようである。