自己を創造的に活かす

  自己を創造的に活かすといっても、客観的な指標があるわけではないので、結局はどのような姿勢でリーダーシップに臨むのかということになる。これを考えるにあたって、一つの目安となる指標があるという。その一つは「肯定的自己観」と呼ばれるものであり、もう一つは「ワレンダ要因」と呼ばれるもので、この組み合わせでタイプを分けられる。

 肯定的自己観とは、自分の強みと弱みを認識して強みを伸ばし弱みを補う努力をすること、自分の強みを伸ばすスキルを身に着けること、自覚している能力と職務に求められる能力が一致しているかどうか見極められることである。ワレンダ要因とは、全身全霊で仕事に打ち込めば成功するが、失敗のイメージが先行すると失敗するという意味している。

 自己観もワレンダ要因も肯定的なタイプは、いかなる仕事に対しても、確固たる信念を持って臨むので、仕事が成功すれば、それに相応しい評価が得られるという楽観的な見通しを持っている。つまり、効果的なリーダーシップを発揮するためには、自分自身に対しても、仕事に対しても前向きの姿勢で挑むため、最も効果的なリーダーシップを発揮する。

 自己観が否定的でワレンダ要因が否定的なタイプは、仕事の内容自体に対しては、決して達成が不可能とは思わないが、もし失敗したらどうしようという心配が先行するため、例え挑戦したとしても、「自己成就的予言」に縛られ、やはり駄目だったと後悔する。これがトラウマになり、自分では決して挑戦しないが、批判だけはする評論家的存在となる。

 自己観が肯定的でワレンダ要因が否定的なタイプは、仕事をこなす自信はあるが、その結果に対する評価が期待通りに得られないのではないかと不安に思う。そうしたスタンスが高じると、組織に対して反抗的になったり、不満を持つたりすることつながり、それがさらにエスカレートすると、メンバーから孤立してしまい、組織を離れることにもなる。

 自己観もワレンダ要因も否定的なタイプは、仕事を無難にこなす自信もなければ、仕事の内容自体にもネガティブなイメージしか持っていない状態である。こうしたタイプは、何事にも否定的で、取り組み姿勢も消極的で無気力である。そのため、自分で世界を狭くしてしまい、最終的には退職せざるを得ない状況に自らを追い込んでしまうことになる。