PM理論

 PM理論は、三隅二不二教授が発表したリーダーシップ理論として知られている。研究の端緒となった問題意識は、集団においてメンバーがどのような心理的法則に基づいて行動するかというグループダイナミックス(集団力学)の観点から、リーダーシップを捉えてみようとしたもので、集団におけるリーダーシップが果たす役割について着目している。

 集団が発展するための機能は、集団が掲げる目的の達成およびそれに関連する課題を解決していくPerformance(P:目標達成機能)と集団を維持していくMaintenance(M:集団維持機能)の2つあるとしている。このPとMという行動の組み合わせにより、PM型、P型、M型、pm型に分類して、リーダーのタイプを説明しているところが特徴である。

 PM型は、リーダーシップを発揮する理想的なリーダーシップスタイルと位置づけ、フォロワーの職務満足や生産性に好影響をもたらすタイプとしている。すなわち、P行動として、的確な指示やアドバイス、フィードバックを的確に実践すると同時に、フォロワーとの関係に対しては、M行動としてフォロワーの心情にも気配りするというタイプである。

 P型のリーダーシップスタイルは、P行動であるフォロワーへの指示や命令に重点を置き、時にはプレッシャーをかけても、目標達成を目指す。目標に向かってまい進するという点では評価できるが、M行動である集団維持にはあまり意を用いないので、フォロワーのモチベーションを低下させることにも繋がるので、結局は目標達成にも影響してしまう。

 一方M型は、集団の活動水準を一定に保つためフォロワーへの気遣いに重点を置いたリーダーシップスタイルである。フォロワー同士の人間関係は良好に保たれるが、組織の目標を達成するためのP行動が伴わないため、組織の推進力が低下する虞がある。こうした状態に陥れば、何のための組織かも見失われてしまうことにもなりかねないわけである。

 最後のpm型、目標を設定したり指示を出したりするP行動と集団をまとめていくM行動のいずれの特性も低い、放任主義型のリーダーシップスタイルである。ここで示した、4つのリーダーシップスタイルのうち、PM型以外は組織のリーダーとして相応しいものではない。つまり、P行動とM行動の両特性を兼ね備えたリーダーが必要ということになる。