官僚組織の合理性

 官僚制というと「天下り」や「官僚支配」など、ネガティブなイメージがあるが、それでも、今なお多くの組織はこれを基本としている。官僚制では、組織内のすべての活動は規則に基づいて運用され、メンバーの役割や権限、果たすべき役割(義務)と責任が規定されている。当然、この規則に違反すると懲罰の対象になるため、秩序が保つ努力をする。

 この組織体制を維持するため、上位の職位が下位の職位に命令を下す上意下達の階層性という原則が存在する。ただし、ここでいう上下関係とは、人間が本来持っている能力や権力を指すものではなく、あくまでも、各階層に存在する役割(職務)を根拠としているものであるから、命令が発せられる系統もあらかじめ規定されている(命令一元化の原則)。

 また、組織内の業務の執行は、原則として文書によって行われる。近年は、IT化の進展により、電子記録が採用されてきているが、基本的には文書化されることによって、暗黙知が形式知となり、情報が組織内で共有される仕組みになっている。しかし、場合によっては機密性のある情報もあることから、中々円滑に情報の共有化が難しい状況にある。

 このように、やや硬直的な組織運営にならざるを得ない反面、規則によって割り当てられた役割に関しては、それぞれが専門化されているので、役割を担うメンバーは、職務に習熟するため専門的な教育・訓練を受ける必要性がある。このような体系は、一定の専門的トレーニングを積めば、誰でも均一の職務遂行能力が習得できるというメリットもある。

 官僚制のこうした特質から、組織に所属するメンバーは、組織に専従する専門家であることが求められるから、雇用形態もフルタイム勤務の正社員であることが前提となっている。これが終身雇用制の背景にもなっている側面もあるが、近年は、前述のように、必ずしもフルタイム勤務者でなければ、官僚制は成り立たないという根拠は薄れてきている。

 このように、幾つかの特徴をもった官僚制であるが、なんといっても専門性が発揮できるような規則が存在することが、組織の安定的運営にもつながっている。つまり、習得可能な規則はマニュアル化され、専門的トレーニングを受ければ、昇進する可能性もあるため、規則に則り職務を遂行することにメンバー同士が真摯に取り組む慣行が根づきやすい。