フォロワーが変革に対して積極的になれないというケースでは、漠然と変革を好まないという消極的な態度をとるもの、将来展望が開けないという不安を抱いているものもが入り混じっている。こうした状況にあるメンバーにとっては、折角ビジョンの実現に向けて動き出したのに、「はしごを外された」という思いをしたくないという防御姿勢がみられる。
多くの場合、こうしたメンバーを説得するという方法で、事態を打開しようとするが、それはかえって逆効果になることもしばしばある。環境整備には、評価方式や給与制度などの制度の改善だけではなく、長年にわたって形成された企業文化にも及ばなければ、個々のメンバーのモチィベーションは上がらない。このあたりはマニュアル通りにはいかない。
やや逆説的だが、推進チームを結成する以前に、予想される抵抗勢力を含めたチームを編成し、変革の必要性について話し合わせるというが意外に効果がある。その意図は、変革是認派と反対派の間で十分に議論をさせることで、意外に早く妥協点を見出すことがあるからである。こうすることで情報の非対称性はかなり解消される可能性が高まるからだ。
すなわち、一見水と油の関係にあるように見えても、企業や個人の目的が同じベクトルに向いていることには異論がないはずであるから、環境が変化しているという情報を十分提供することで、共通点は必ず見つかるはずである。こうした土俵を用意すると、変革を拒絶する理由がなくなってきて、場合によっては変革推進派に鞍替えをするものも現れる。
もちろん、現実はそう甘くはないが、それでも、自分もメンバーとなって協議したという自負が、非常識とも思える意見を主張し続けることはなくなる。つまり、人間は目指しているものが同じであれば、自ずから共通点を認め合うことはそう難しくはない。制度改革には、劇薬とも思しきこうした手法で中央突破するのもリーダーの器であるようである。