リーダーシップは発揮能力

 マネジメントとリーダーシップは、言葉のニュアンスからいっても同一のものではないことは解る。しかし、どうちがうのかと問われれば、少し戸惑うのではないだろうか。経営トップの仕事という観点からすると、経営理念に基づいてビジョンを設定して、これを達成するために組織をつくり、PDCAサイクルを回すのはマネジメントの役割である。

 一方のリーダーシップは、フォロワーに意識の変化を促し、想定外の事態が発生した場合の対処策や絶えざる革新をリードすることである。つまり、組織にとって、どちらが大事かということではなく、お互いに補完的な関係にあるものであると考えられる。当然のことながら、トップマネジメントは、両方の機能を同時に発揮する場合もしばしば生じる。

 ただ、リーダーシップは、保有能力というよりも発揮能力という側面が強いので、組織がどのような状況に置かれているかによって、その発揮すべき機能がことなるため、トップにリーダーシップ能力があるかどうかを判断するのは筋違いである。一般的には、全般管理者はマネジメント、下層になるにつれてリーダーシップが強く求められる傾向がある。

 また、リーダーシップは、時にトップマネジメントにも大きな影響力を持つこともある。イノベーションが不可欠な新製品開発などの場合には、旧来のビジネスモデルを変更する必要が生じることもあり得るので、その時はリーダーシップにより組織全体に変革を求める原動力とならなければならない。こうした場合はリーダーシップの方がより重要になる。

 幾多の苦難を乗り越え、業界のトップとなった企業には、必ずと言っていいくらい優れたマネジメントとリーダーシップを発揮したリーダーが存在した。古来、日本では軍師などと呼ばれる補佐役がリーダーシップを発揮し、二人三脚で難局を乗り切ってきた経緯がある。この場合の軍師は、兵を動機づけコミュニティーを奮い立たせる役割を演じている。

 マネジメントの経営理念が貧しいものであれば、リーダーが如何にこれを正当化しようとしてもフォロワーはこれを本音で受け入れようとしないから、どんなに能力が高くても、リーダーシップは発揮できない。こうした意味合いからすると、現代経営においては、リーダーシップとマネジメントは役割を分担し合うスタイルの方が望ましいのかもしれない。