この課題をどのように克服するのかが大きな問題だか、単に課題を提示したり、課題克服を目標として掲げるだけでは、リーダーの役割を果たしたことにはならない。そこで、まずリーダーがなすべきことは、トップの経営理念やビジョンをフォロワーに理解してもらうことに心を砕く必要がある。ここが不十分であると協働する組織運営は遂行できない。
何故ならば、事業展開していく上での戦略には、経営資源の効果的かつ効率的な配分、それを遂行するための組織編成、パートナーや他の企業との協力関係、行動指針その他が含まれているからである。ここの部分が、フォロワー同士が理解していなければ、夫々のメンバーが保有する能力を有機的に結びつけ、生産性のある活動ができないからである。
すなわち、この戦略実行に関わるのは、直接コミュニティーを形成するメンバーだけではなく、傍系のコミュニティーや下位の部下も関わる場合もある筈であるから、もしもリーダーが強制的に目的を生吞みにさせるようなことがあれば、部門間にコンフリクトが生じてしまう。つまり、事業の目標と部門の目標のベクトルにズレが生じてしまう虞がある。
このように、リーダーは直属の部下ばかりではなく、部下の部下、直属の上司や経営者、役員、他部門の同僚及びその上司・部下といった組織内はもとより、消費者、取引企業、協力企業、金融機関や関係者、政府、地方公共団体、マスコミ関係者といった、広い意味での利害関係者(ステークホルダー)に及ぶ人脈を結ぶコミュニケーションが必要である。
これらの有形無形の人脈が構築されてはじめて、課題解決のための戦略が機能するわけであるから、リーダーの能力が発揮され、戦略実行が功を奏することで、はじめてリーダーシップが発揮されたと評価できる。リーダーシップと成果との間には、必ずしも明確な因果関係があるわけではないとしても、人脈を形成することはリーダーの基本動作である。