しかし、ここでいう組織の変革とは、組織の組み換えとはことなり、新しく設定されたビジョンを達成するための組織であるから、組織を構成するメンバーの意識も変わらなければならないということである。ところが、ここには抵抗勢力が存在し、トップの号令により簡単に変えられるものではない。このことは、多くの組織が経験していることである。
改革には、大なり小なり痛みを伴うものであるから、変革を拒否する勢力は、現状を維持することの正当性を主張する。これを力でねじ伏せることは可能であったとしても、組織変革に賛同したわけではないから、組織全体の協働意欲は減退し、時には、そのことが大きく影響してビジョンの達成が妨げられることになれば、改革は事実上失敗に終わる。
したがって、組織を変革するには、抵抗勢力を排除するという姿勢ではなく、変革の必要性を粘り強く説得し理解を得ることが不可欠であるから、周到な準備の下、しかるべきステップを踏んで、段階的に進めていかなければならない。ここで発揮されるのが変革型リーダーシップということになるわけであるが、それには以下のような段階が考えられる。
1)緊急課題であるという認識の徹底。2)強力な推進チームの結成。3)ビジョンを打ち出す。4)ビジョンを組織内に浸透させる。5)ビジョン実現のための環境を整備する。6)短期的成果を上げるための計画策定・実行。7)改革成果の定着とさらなる変革の実現。8)成果の定着と持続的発展。{ジョン・P・コッタ著「第2版 リーダーシップ論(ダイヤモンド社)より}。
ただし、こうした8つのステップを踏んだとしても、組織変革は円滑にかつ順調に進むものではない。それは何よりも、率先してリーダーシップを発揮すべきベテランが抵抗勢力の旗頭になる傾向が強いからである。このことをトップが熟知しているからこそ、第一のステップに「危機感を植えつける」ことを掲げ、ここを突破することが先決としている。