業界におけるフォロワー企業が、新たなビジネスにチャレンジしようとするとき、まず、自社の経営資源を見直し、誰(顧客)に対してどんな価値を、どのような差別的戦略を用いたビジネスモデルを構築すべきかを模索することになる。こうした場面では、検討すべき要素がMECEに整理されているので、ロジカルにフレームワークが進むことになる。
ここで示されている類型は、1)プロセス改革型(既存のバリューチェーンを見直す)、2)秩序破壊型(既存企業の儲けの仕組みを無力化する)、3)市場創造型(顧客自身が気づいていない価値を具体化する)、4)ビジネス創造型{イマジネーション(想像力)とイノベーション(創造力)を結びつける}の4つのタイプで、成功のカギも具体的に示されている。
しかし、ここで多少問題にしたいのは、「儲けの仕組み」と「製品・サービス」を別の要素として対応させていることである。ここに掲げている「儲けの仕組み」は、ビジネスモデル以外の何ものでもない。ということは、ビジネスモデルとは、ターゲットと提供する製品・サービスを中核に据えられているとはいえ、収益モデルによって異質なものになる。
つまり、どのような収益モデルにするかによって付加価値が異なったものになるという考え方が根底にあるはずであるから、製品・サービスを別次元で扱うのは合理的ではないように感じられる。現実には、企業が新しいビジネスモデル構築に向かって動き出すとき、中核となる品質よりも、「どんな付加価値を提供するか」に重点をおいて取り組んでいる。
もちろん、業界における自社のポジションや経営資源の棚卸もままならない中小企業の場合は、前述のようにこうした切り口を示してもらうことは、経営革新に取り組む動機につながる可能性があることも事実であるが、もっと多様な切り分け方があり得ることを示唆すれば、埋もれていたアイディアが掘り起こされるチャンスが見いだせるかも知れない。