秩序破壊型

 このタイプに属するプレイヤーは、製品・サービスは基本的に既存のものと同じであるが、儲ける仕組みが劇的に異なる。そのため、この形のプレイヤーが提供する仕組みが消費者から歓迎されれば、既存の企業は大きな打撃を受ける。つまり、顧客を失うかあるいは、それまで蓄積してきた経営資源を負債化させて新プレイヤーに対抗するかを迫られる。

 例えば、ゲームソフトの内容は同じでも、これまでのように専用のゲーム機を用いなくても、スマホで簡単にゲームを楽しむことができれば、消費者は、わざわざゲーム機を持ち歩く必要もなくなるばかりか、ソフトも無料あるいは格安で手軽に手に入る。ここが、これまでの提供方法と大いに違うところであり、課金の方法も全く異なったものである。

 リブセンスが運営するアルバイト紹介サイト「ジョブセンス」は、アルバイトをサイト上で募集する求人広告であり、その点では従来の方式と何等変わりはないが、これまでと違うのは、求人をする企業の掲載料負担が大幅に軽減されたことにある。すなわち、従来型は、応募者があろうがなかろうが、求人広告掲載料が発生するという方式が定番だった。

 しかし、リブセンスは、求人をする企業が採用するまでは掲載料を払う必要がないという、成功報酬型を採用している。さらに、ユニークなところは、求人に成功した企業がジョブセンスに、その旨を連絡しないというリスクを防止する対策として、応募者が採用された時点で、お祝い金を出すこととしたので、求人した企業はリブセンスに必ず報告する。

 会員制ホールセラーと呼ばれる「コスコト」の場合は、会員から年会費を徴収し、格安で大ロットの商品を販売するシステムを採っている。顧客は当然小売業者などに限定されるが、商品を販売する利益は最小に抑え、その分安定した会費収入により収支を合わせている。このスタイルは、ジレットモデルを応用したものであり、常識を覆したものである。

 しかし、こうしたスタイルの原型は昔から存在していた。例えば、米穀販売店が、米を配達するついでに、家庭用の灯油も扱っていたが、元々、灯油の販売には重きを置いておらず、そうした米穀店は、灯油の仕入れ先である石油販売会社よりも格安で販売していることがあった。どちらを目的とするかによって、既存の企業は大きなダメージを受ける。