プロセス改革型

 このタイプに属するプレイヤーは製品・サービスや儲ける仕組みも既存のものと同じであるが、コスト構造や付加価的サービス、業務プロセスなど、自社のバリューチェーンを見直すことで競争のルールを変え、顧客に新しい価値を提供するもので、アマゾンによる書籍のネット販売などが代表的な例で、購買プロセスを見直しているものが多く見られる。

 アマゾンによる書籍のネット通販の場合は、書籍を購入しようとすると、まず書店に出向き、売り場を探して棚から目あての本を探さなければならなかったか、アマゾンのモデルは、このような一連のプロセスを省略されている。顧客側の利便性が格段に向上したばかりか、企業としても店舗にかかるコストを削減できるし、書籍の品揃えも充実できる。

 インターネットを活用した事例としては、高級ファッションを売る「ゾゾタウン」や「ライフネット生命」、「松井証券」なども、店舗コストの節約、営業職員の削減による人件費の圧縮など、従来の業務に欠かせなかったプロセスを省略することを可能にしている。ただ、ネット通販自体は、一般化しているため競争ルールを変えるインパクトは薄れている。

 また、インターネットとは直接関係のない改革型もある。これまでと同じ製品・サービスでも、それらの提供方法を変えることで新たな価値を生み出している企業である。例えば、洗髪や髭剃りといったサービスをなくすことで、時間とコストを抑えることに成功したヘアカット専門店のQBハウス、女性専用のフィットネスクラブのカーブスなどである。

 プロセス改革型は、前述のように取り扱う製品やサービスも儲ける仕組みも既存のものと同じでるといっても、提供方法を変えることで製品やサービスの価値が違ったものになるため、サービス業の場合は、新たに提供されるサービス商品が異なったものになるという考え方もできるので、そうした見方をすれば、市場創造型と位置づけることもできる。

 いずれにしても、既存の製品・サービスとは、そのコンセプトが異なるものであるから、「何をするか」、「何をしないか」を明確にした事業領域の設定が、顧客の価値観と一致させることが肝になる。こうした明確で強いメッセージが、戦略/差別化につながらなければ、他社の追撃を受ける危険性も高いため、形だけでは参入障壁としては不十分である。