つまり、市場ではなく、儲けを生み出す戦略を縦軸にして分類したものである。1) 既存の仕組み」と「既存の製品・サービス」の対応関係では、既存のバリューチェーンの枠組みを変えることなしに、コスト構造や付加的サービス、業務プロセス、儲け方の仕組みを変えることで、競争のルールを変えてしまうことを武器とする「プロセス改革型」である。
2)「新しい仕組み」と「既存の製品・サービス」では、これまで業界で常識とされてきた儲けの仕組みを全く新しいものに変えてしまうことで、既存企業の機能を無力化してしまう「秩序破壊型」である。例えば、これまで売り切ることが当たり前であった商品をレンタルする。主力としていた商品を無料または格安にして、その他で課金するなどである。
3) 「既存の仕組み」と「新しい製品・サービス」は、既存市場では満たされていない価値に着目し、このニーズを新たな市場として捉えることでこれにマッチした製品サービスを提供する「市場創造型」である。メガネのJINS PCや東進ハイスクール、青山フラワーマーケットなどがその例であり、仕組みは同じでも提供する製品・サービスが異なる。
4) 「新しい仕組み」と「新しい製品・サービス」は、創造力と想像力の結晶として生まれた新しい仕組みで、かつ提供する製品・サービスも旧来のものとは全く異なる。例えば、価格Comは、各小売店の価格情報をネットで簡単に検索できるサービスを提供しているほか、ここから小売店のECサイトに移動して商品を購入できるサービスを提供している。
いずれのモデルも、直接的あるいは間接的には既存企業に大きなダメージを与える。それは既存市場のリーダー企業が同質化を仕掛けて来る可能性が薄いことに特徴がある。しかし、中には既存の製品・サービスとバッティングするカニバリゼーションを起こす虞が低い場合もあり、絶えざる革新を続けなければ、リーダーの巻き返しに合う危険性もある。