リーダー企業の戦略セオリー

 フィリツプ・コトラーによると、市場シェアにより競争地位を、マーケット・リーダー、マーケット・チャレンジャー、マーケット・フォロアー、マーケット・ニッチャーに分類し、それぞれのシェアは、40%、30%、20%、10%としている。また、嶋口充輝教授は、経営資源の質量の大小により、競争地位を類型化して、その特徴的な戦略を説明している。

 こうした競争地位の類型に従えば、リーダー企業の採るべき戦略が見えてくる。一つは、生産力、マーケティング力、資金調達力といった経営資源の質量をフルに活用して、週辺需要の拡大をはかり、特許などにより、競合企業の参入を阻止することを狙う。すなわち、市場における優位性を保ちつつ、さらにシェアの拡大を図ることを目指すことである。

 二つ目は、差別化戦略を武器としているチャレンジャーの戦略を模倣して、差別化を無くしてしまい、最終的に同質化してしまう戦略をとることである。製品開発にはそれなりのコストが伴うが、出来上がったものを模倣して新製品に仕立て上げるのは、経営資源の豊富なリーダー企業の得意技の一つであり、チャレンジャーにとって苦々しい限りである。

 三つ目は、価格競争に陥らないように市場をコントロールすることである。市場のパイを拡大することなく、下位企業のシェアを奪おうとすれば、チャレンジャー以下の企業は、生存領域を侵されるとして、低価格競争に打って出る。そうなれば、シェアの大きいリーダーが一番大きいダメージを受ける。そのため、自ら価格競争を仕掛ける戦略は採らない。

 最後は、最適シェアの維持である。同質化や価格維持を志向するリーダーは、裏を返せば、下位の企業が討ち死にを覚悟で、シェアの拡大戦略に踏み切られることを最も嫌うということである。お互いに同質化政策を暗黙のうちに了解し、波風を立てないようにコントロールすることが、独占禁止法の趣旨にもかなうので、最適シェアの維持を志向する。

 以上のように、リーダーは、下位企業と同質化政策を共有することにより、安定したシェアを保てるというのが本音である。一定のルールになじみ、それを基盤にして囲い込みスタイルを構築すると、無理にシェアの拡大を図るよりも、この枠組みの中で、コントロールしがたい土壌を新たに築かれることに心を砕いた方が得策であるということである。