競争することのメリット

 競争のない社会は疲弊する。激しい競争があるからこそ進歩や成長があり、それが社会に対する貢献にもつながることは疑う余地はない。しかし、自分があることで他人より優位な位置にあるときは、競争を当たりまえと考え、競争を前向きにとらえるが、一旦劣勢に立たされると否定的になるという一面もあり、その時はデメリットを重視してしまう。

 企業経営をめぐる競争においてもメリットとデメリットはあるが、企業の立場からだけではなく、顧客の立場から見た競争という視点でこれらを判断しなければならない。また、一局面から見れば、企業にとって有利であっても、大きな視点あるいは長期的なスパンで見ると、ガリバー企業の存在する市場は、成熟化も早い割には革新機能が追い付かない。

 すなわち、競争することによって、シェアを維持するために、能力増強投資や技術革新を取り入れるなどするため、企業の能力の向上を促す。また、企業の存在感が認知されるにつれ、潜在需要が掘り起こされ、結果的に市場全体のパイが増えるというメリットもある。つまり、企業の露出度が増すことで、自然に製品のブランド力も強固なものになる。

 さらに、競争力を高めるためには、人材の育成などによる組織の活性化圧力が高まるため、必然的に人材や組織の活性化につながる。こうした現象は、みんなが競って勉強することで学力が向上するのと全く一緒であり、企業間における競争において、みずからの能力を増強するチャンスにもなるので、大きなメリットの一つであること言えるであろう。

 一方顧客の側からいっても、数々のメリットがある。例えば、ニーズの多様化への対応である。今では当たり前になった宅配事業なども、長年の間大手企業の独占的事業であったが、競争することが定着してくると、そこに埋没していた潜在的なニーズが次々に掘り起こされ、小回の効く宅配便(クール宅急便、ゴルフ宅急便)などが次々に開発された。

 それから、一番大きなメリットは、価格の低下である。かつては、高嶺の花であった電化製品や空の旅などは、競争が活発になったことによって低価格化が実現された。こうした傾向が加速化されたことで、それまで情報の非対称であったものが、次々に明らかになり、企業の一人勝ちを許さない時代が到来し、ますます顧客が得られる経済性は高まった。