データ収集のポイント

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 データを分析するには、必ずその背後には目的があるはずである。データを収集するのも、この目的に沿うためのアクションであるはずであるが、実際には、収集する場合の動機はやや曖昧であることも多い。そのため、収集され蓄積されているデータを分析しようとすると、そのままでは分析に馴染まず、場合によってはかなり加工しなければならない。

 しかし、企業経営上からいえば、売上高や利益の増加、そのための原価低減、諸経費の適正化、新商品開発、市場開拓などに関連するものは定番になっている筈なので、普段から、これらの目的に即したデータを蓄積しておかなければならないわけであるが、誰がどんな目的で、どんなアクションをするために分析するのか不明確であるとこも以外に多い。

 この点を整理すると、1)誰がアクションをするのか(対象者)、2)どんな目的でアクションをするのか、3)どんなアクションを目指しているのか、4)それは具体的にはどんなアクションなのか、5)そのためには、まず何をやるべきか、という点を明確にしておくことである。この中で特に重要なのは、「誰に」と「どんな目的で」という2つの前提は絶対かかせない。

 例えば、新製品を開発するためにデータ分析を行おうとする場合でも、アクションの担い手(担当部門)が製造部門なのか、営業部門なのか、あるいは社長に対して提案するためなのかによって、「目的」も「誰」も変わってくる。ただ、会社の売上や利益の向上を目指すという共通性はあるので、準備の段階ではこれらを仮設定し、途中で修正すればよい。

 分析を始める手順としては、これまでの分析手順に従えば十分である。すなわち、「目的」を設定する前に、仮説を立てて問題をトップに据え、これを細分化したツリーを作る。例えば、売上をトップに据えるのか、それとも利益を据えるのかは、問題の捉え方によって異なるので、細分化される下層の要素配列(レベル)も異なったツリー構造になってくる。

 利益の場合は、「利益=売上-コスト」→「売上=売上数量×販売単価」→「コスト=変動費+固定費」というように、利益を分解するのか、売上を分解するのかが分析の目的によって異なってくる。例え構成要素は同じでも、分析目的によってツリーの構造が違ったものになる。ここのところを踏まえて、分析対象となるデータを収集しなければならない。