商品消化率の測定

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  金額ベースでみるとほぼ例年と変わりない在庫なのに、売上高が年々減少しているというケースをよく見かける。経理担当者に聞いてみると、「これまでの経験からすると、資金繰りが最も安定する在庫金額が現在の水準なのだという。しかし、売上が減少してきたのだから、当然在庫も圧縮するべきだと考えている」という答えが返ってくることがある。

 経営者に聞いてみても、やはり同じような認識であることが多いが、これは明らかに総額管理の典型であり、売れない商品と売れる商品がどの程度混在していて、それが売り上げにどのような影響を及ぼしているかには関心を示さない。在庫管理は、総額で管理すべきものではなく、売れないものを排除することで適正水準を維持することが目的である。

 こうした企業では、当然のごとく商品の消化率(売上数量÷仕入数量)などは算出されていないので、機会損失とデッドストックが同時に生じている可能性がある。売上は営業部門が管理し、資金繰りは経理部門が管理するという体制をとっている企業は、管理のスパンが限定的なので、相対的にマネジメントするという思考が欠落してしまう傾向がある。

 販売数量と商品消化率の関係を算出し、グラフにプロットしてみれば、販売数量が少なく、消化率も少ない商品の存在をビシュアルに捉えることができる。こうした死筋商品を在庫していることで、相対的に売れ筋商品の在庫を抑制していたとすれば、最悪の在庫管理がなされていたことになる。ここが見えてくれば、打ち手は比較的簡単に見つけられる。

 ただし、こうしたマネジメントが常態化している企業は、単に在庫のシフトを変えただけではあまり効果がない状態に落ちっている場合も多い。すなわち、顧客のニーズやウオンツに耳を傾けてこなかったことの方が、売上の減少に繋がっていることが疑われるからである。いずれにしても、こうした負の連鎖を断ち切る施策を早急に打ち出す必要がある。

 抜本的な解決策としては、売れ筋商品を開発するということになるのかもしれないが、ただ闇雲にアイディアのみで新商品の開発に挑むのは感心できない。まず、販売部門、仕入れ部門、経理部門の責任者が協議し、必要な追加分析をしてみることである。つまり、在庫管理には、社内に蓄積された既存データを多角的に分析してみることが求められる。