データツリーの作り方

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  データツリーは、前述のように「目的」と「対象者」を誰にするかによって構造が異なってくる。例えば、最終的には売上増加を目的にする場合でも、事業部ごとなのか、エリアごとなのか、あるいは製品ごとなのか、エリア別の製品の売上なのかによってツリーの構造(計算式)が違ってくる。つまり、構成要素は同じでも対象者にも配慮が必要である。

 データツリーを作成するもう一つの意義は、データのイメージを明確にすることにある。データのイメージを明確にするということは、データを次々に分解していく過程で、必要なデータのモレやダブリを防ぐことができるということなので、分析の趣旨に沿った要素が抽出できるまで続けられる。また、収集の方法や入手が困難なデータも明らかになる。

 この方法は、財務分析をする場合のデュポン方式を思い浮かべれば解りやすい。すなわち、ツリーの下層における同一レベルは、四則演算で考えればよいわけである。例えば、売上は、エリア別や製品別に分解すれば、これを全部プラスすることで、一つ上の売り上げになる。また、利益をトップに据えれば、その下位のレベルは、売上-コストとなる。

 あるいは、売上×利益率、1点当たり利益÷販売単価という掛け算や割り算で表現することもできる。このようにしてデータを整理すれば、すでに収集されているデータ、これから収集すべきデータ、これから集めるデータのグレード(粒度)が明らかになる。ここで注意すべきことは、既存のデータとこれから補充すべきデータのグレードの調整である。

 たいていの場合、自社がすでに保有しているデータは、粒度が細かいが、市場のデータは収集する目的がことなるので、粒度が荒いことが考えられる。つまり、市場の規模であったり、業界の平均であることもある。さらに困難なのは、競合他社のデータである。こうした場合は、市場規模や全体の金額や成長率と自社シェアや成長率と対応させればよい。

 この場合は、競合企業のデータとして売り上げデータやシェアを把握する必要があるが、これは、Webページなどからも拾うことができるので、これを活用すれば十分である。すなわち、無理にデータの粒度を合わせようとしたり、データが収集できないので分析をあきらめるというのはもったいない。分析には仮説思考が不可欠であるということである。