顧客属性別の傾向分析

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  RFM分析の結果、前項で分類した7ないし8つのセグメントが明らかになったとしても、これをどのようにして販売促進につなげていくかはこれからの課題である。とりあえず、R(最終購買経過月)、F(購入回数)、M(購入金額)の相関関係を調べてみる。ここでの着眼点は、RとMのどちらがMに対する貢献度が高いか(相関が大)かである。

 次に、RとFの相関関係も気になるところである。というのは、最近購買したかどうと年間に何回購入したかは別の事ではあるが、購入頻度が高ければ、最近購買した可能性も高まる。つまり、常連客であることを前提にすれば、これら2つの間の相関は高いことが考えられるが、この場合は、FよりもRの方を重視すべきであることが多いようである。

 実際に売上高を目的変数、最終購買経過月と購入回数を説明変数とした重回帰分析をしてみると、FとRの相関は高いものの、重回帰係数はどちらかがマイナスになることが多い。その場合は、Mとの相関が高い方1つを説明変数とすることになる。ただし、R、F、Mもある基準により指数化されている数値を用いるわけだから、重要度を示すにとどまる。

 このように、RFM分析を行うことで下準備をしておけば、今度はこれらの特性と、地域、職業、性別、年齢、所得といったデモグラフィックな属性をクロスさせることで、より明確な訴求ポイントが洗い出されてくる。例えば、広告のチャネルを絞り込み選択することで、効果的かつ効率的な販売促進策が打ち出せることになり、経費の節減にも役立つ。

 多くの中小企業では、広告宣伝費の効果測定を行うシステムが整備されていないことが多い。そのため、売上高が減少し始めると、広告宣伝費は無駄であると認定されてしまい、経費節減の対象にされ易い。しかし、こうした分析をすることで、得意先に対するアプローチ方法を組み替えることで、購買欲求を喚起する有効な手立てを発見することができる。

 すなわち、顧客の購入チャネルに応じた訴求方法を選択しなければ、どんなに費用をかけたとしても顧客に届くはずがない。また、方向は間違っていなかったとしても、カバーするエリアでは顧客にリーチできないといった、閾値に達していない場合も同様である。ここが不明朗であっては、広告宣伝費はどの程度売上に貢献しているのか把握できない。