新規顧客の増加策

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 新規の顧客を獲得するのはそう簡単ではない。同一の市場で新規の顧客を獲得しようとすれば、競合他社の顧客を自社に転換させることになるだろうし、これまで既存市場での取引がなかった全くの新規顧客をターゲットするのであれば、それなりの情報収集力が備わっていなければならない。いずれにしても、アプローチするだけでもコストがかさむ。

 そうした状況下にあることを想定すれば、購買率の高い地域、購買率の高い年代、購買率の高い性別、購買率の高い職業などに着目し、その状況を自社のデータ分析により確認してみる。自社のデータでは確認できないようであれば、国や都道府県、市町村などの各種統計データや業界団体のデータを活用することで、ある程度の状況を掴むことができる。

 さらに、必要であれば、商品ラインやカテゴリーごとに上記の区分に従って、細分化された商品アイテムの構成を把握することで、売れ筋や伸び率の高い品目を確認できる。これをもとにして、地域別、年齢別、性別、職業別と自社の得意とする商品を適宜組み合わせる。ただし、自社の事業領域から越脱することの無いように注意しなければならない。

 このようにして、仮説と分析を繰り返すことで、ターゲットとする顧客を選定し、プロモーションも含めた適切なマーケティングミックスが構築されていくが、ここまでのアプローチは、あくまで売上高の増加をメインにした考え方である。財務計画上からいうと、費用対効果をないがしろにすることは出来ないので、総利益率の分析も区分ごとに行う。

 新規顧客の獲得でもう一つ大事なことは、やはり、新しいニーズ(潜在的ニーズ)を掘り起こすことにある。この点の考え方については、ブルーオーシャン戦略で述べた戦略キャンパスにより、新しい付加価値の創造を目指す場合には、「付け加える」「増やす」「取り除く」「減らす」といったERRCグリットによる検討を視野に入れることになるであろう。

 こうした試みを順序立てて進めれば、経営資源の脆弱な中小企業でも、新規顧客の増加が見込めるが、費用対効果を念頭において、市場目標と財務目標のすり合わせを繰り返しながら進めることが肝要である。しかし、「やればいいこと」と「ぜひやるべきこと」とを混同してしまい、盛りだくさんの計画になってしまうと、失敗に終わってしまう虞がある。