収益構造を売上高、固定費、変動費という要素に着目して損益分岐点分析を行ったとすると、次にこれらの要素をさらに分析してみる必要がある。例えば、売上高が減少したことに問題があると思われるのであれば、その要因を、顧客の減少、客単価の減少に分けて考えてみる。この段階までの分析ではっきりした原因が把握できれば、分析は終了である。
しかし、原因が掴めないのであれば、前者はさらに新規顧客の減少、リピート率の減少、後者は商品単価の減少、購入点数の減少にまで掘り下げなければならない。ここで、新規顧客が減少したことをデータ分析から明らかになったとしても、その課題を解決する方策が見つからなければ意味がない。リピート率の減少にしても同様に掘り下げが求められる。
新規顧客が減少したのは、市場が既に飽和状態になってしまったことによるものか、あるいは、新規参入業者の低価格攻勢によるものか、はたまた、自社のサービス力や商品力の低下、品揃えの質量の低下、カテゴリーマネジメント不足などもあり得るかもしれない。こうした原因を特定するには、社内に蓄積されたデータを分析するだけでは不十分である。
客単価の減少についても、商品単価の減少や購買点数の減少を事実として把握したとしても、その背後にある最終的な原因を突き止めなければ、改善策としての仮説構築には至らない。すなわち、商品単価が減少したというだけの事であれば、分析するまでもなく、事前に値下げをしたか、あるいは、顧客の値引き要請に応じざるを得なかったことになる。
こうした場合は、分析する以前に市場の状況が把握できていたことになるので、価格競争力を高めるための方策として、仕入れルートの開発や値引き交渉力の強化方策などを検討するなどの戦術が既に検討されているべきもので、改めて分析する価値は無いように思われる。購入点数の減少については、売り場構成や品揃え、品質管理の問題かもしれない。
いずれにしても、いたずらに問題を切り分けても意味がない場合もあるので、事前に分析作業を定義し、これにしたがって分析を進めることが肝要である。具体的には、売上高の減少要因を深堀する方向を決め、社内に蓄積されている定量的データの分析から始め、必要に応じて、顧客への聞き取り調査やアンケートなどにより、顧客の声を収集していく。