収益構造を明らかにする分析

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 データの分析は、問題の構造を明らかにするために行われるものであるが、これが最終目的ではない。損益分岐点分析も例外ではなく、売上高、固定費、変動費の状況を明らかにするだけでは意味がない。その構造の背後に隠されている要因を分析して、問題解決の糸口を掴み、かつ、改善策を新たな仮説として構築することが最終的な目的であるはずだ。

 損益分岐点分析では、まず、売上高が足りないのか、固定費が高すぎるのか、変動費率が高いのかを、まず構造的に把握する。もしも売上高が足りないことが問題であるならば、売上単価を引き上げる可能性や販売数量を増やす施策が考えられる。この場合は、新商品の開発や販路の拡大などの可能性を検討してみるという方向が改めて問題となるであろう。

 固定費が高いことを是正することが課題であるのであれば、固定費を構成している費目を分析し、業務のプロセスを見直すことで引き下げ策を打ち出す。変動費率が高いと思われる場合は、返品や値引きの圧縮などの検討と共に、仕入先との交渉により原材料費の値下げや外注の見直しを図るため、作業工程分析など新たなデータ収集の方向も見えてくる。

 さらに、事業別や顧客別、地域別、店舗別など、多様な営業展開をしている企業の場合は、それぞれ単独の損益分岐点分析を行えば、より詳細に改善点が見つかることになる。損益分岐点分析自体はベーシックなものであるためか、近年は軽んじられている傾向も見えるが、それは損益分岐点を明らかにすることにのみに重点を置いていることに起因する。

 損益構造を損益分岐点分析により、ビジュアルに捉えることで、さらなる分析の必要性が見えてくるのに、これをおろそかにしたまま、単に、売上高の増加、固定費の圧縮、変動費率の引き下げを模索する。このように木を見て森を見ようとしないアプローチでは、収益構造の真の欠陥が見えづらく、適切な仮説を打ち出すことができなくなってしまう。

 データは分析することにより、情報に変換できなければ意味がない。また、どんな情報が必要なのかを意識しなければ、必要なデータも分析法も見つからない。ということは、目先の直接的な情報を追い求めているだけでは、経営目的にそった効果的な戦略を打ち出すまでには至らない。業績が低迷している企業にはこうした特徴が往々にして見られる。