グラフに描いたイメージとしては、まず、一定の操業度を前提にした固定費線が一定の高さで、X軸に平行に描かれる。次に、固定費線の上に乗っかる形で製造原価(仕入原価)線が変動費線として右肩上がりに描かれる。そして、最後に売上高線は、X軸とY軸が交わる点(原点)を始点として、変動費線よりも急勾配の線として右肩上がりに描かれる。
固定費線と売上高線が交わる点が、固定費回収点売上高で、変動費線と売上高線が交わる点が損益分岐点である。したがって、現在の売上高が損益分岐点より右側(上)にあれは黒字で左側(下)にあれば赤字ということを意味している。なお、目標利益率を5%に設定するとすれば、変動費線より5%上側に平行線を描くと目標とする売上高線になる。
この基本構造を前提にすれば、売上高線をできるだけ損益分岐点から上側に引き離すことで、経営の安定性が確保できるということになり、これを実現するためには、売上高を伸ばす、変動費率を引き下げる、固定費を引き下げる、という3つのアプローチがまず考えられる。一定の操業度を前提にすれば、いずれも難しいため通常は殆ど検討されない。
しかし、その結果赤字が累積されてくると、緊急避難的に固定費を削減することで、損益分岐点を下げようと試みる。その時、削減対象となる費用が、交際費、交通費、広告宣伝費などであるが、それても追いつかない場合は人件費の削減やリストラなどによる人員の削減にまで及んでしまう。それが本当に緊急避難であるとすればやむを得ないであろう。
また、近年では「固定費の変動費化」が叫ばれ、本来は固定費であるはずの人件費をできるだけ売上高に連動する形で変動費化しようという動きが定番になっている。しかし、企業経営にとって、身軽な経営が損益分岐点を引き下げることがベストの選択なのかどうかは、業種や業界特性によっても違うし、企業の存続目的によっても異なるはずである。