コストの配布基準策定

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 コストの配布基準を策定するのはそう簡単ではない。しかし、何らかの策定基準がなければ、事業別あるいは顧客別、商品別の収益力も図ることができないので、全社的には目標水準に達しているとしても、効果的な投資が行われていたかどうかは把握できない。ましてや、顧客の不満がそうしたコスト構造の中に埋没してしまっていては本末転倒である。

 ただし、事業や商品単体では例え不採算であっても、フルライン化を保っていることで、顧客のロイヤリティを維持しているという場合もあるから、一概には言えないとしても、そうした場合は、全社的な見地から、戦略の一環として全体計画の中で位置づけるべきであり、このことを持って、コストの適正配布基準をもうけないという理由にはならない。

 コストの配布基準を見直しあるいは策定する場合、現在のコスト構造を分析してみる必要がある。それにはまず、固定費である管理費の中の賃借料、減価償却費、租税公課、人件費などを事業別や店舗別などに配布していき、商品別や顧客別の売上高、総利益(率)などをバーレート分析により、全社的な利益に対する貢献度を測定してみることである。

 このようなコスト配布基準の見直しには、不採算部門の担当者からは異論が出ることが多いと思われるが、担当部門の目線だけを尊重しすぎて、全社的な収益構造が保てなくなるようなことがあれば、全体戦略そのものが市場ないし顧客の要請に応えられない企業という烙印を押されることになるので、トップのリーダーシップの下で断行すべきである。

  一方、開発費や販売費、販売委託手数料などは、商品別には分類できるが、事業別や店舗別には分類できない費用もある。こうした費用の場合は、ひとまず、事業規模や店舗面積などに準じて比例配分してみる。その他の費用は、部門ごとの人員数に応じて配布するなどが考えられる。ここまでの作業が終了したら、全体的なバランスを見直して見る。

 こうしたコストの配布基準は、基準となる軸が明確ではないため、矛盾の連鎖が起こりやすい。例えば、人員数に応じて比例配分をするといった場合、そもそも、人員の配置自体が見直しの対象となることもあり得るわけで、この時は基準にはなり得ない。ただ、この基準は未来永劫続くものではなく、定期的あるいは必要に応じて見直すべきものである。