もちろん、高度な分析手法は必要ないということではないが、企業に蓄積されたデータを十分に活用されていない事実や費用対効果を考えると、これらの手法を駆使することで、少なくとも現状の問題解決に役立つ。例えば、企業経営で最も関心のある売上、コスト、生産性などの問題は、事業別、商品別、顧客別の視点での分析で改善点が見つけ出せる。
セグメント分析では、まず、事業別(または店舗別)の損益状態を明らかにすることで、組織行動の見直しができる。また、取扱商品の損益では、商品やカテゴリーごとに収益構造を見ることで、売れ筋(死筋)商品が把握できる。さらに、顧客別では、BtoCの顧客セグメントの販売促進策の検討やBtoBの場合の取引条件の見直しをする際にも活用できる。
こうしたセグメント別の損益を算出することで、コストの適正配分(配布)基準も見直せる。通常の財務会計では、コストは、原材料費や直接人件費などと、販売・管理費に統合されているため、事業ごと、商品ごと、顧客ごとにコストを算出するシステムになっていない。これらを分析することにより、各セグメントの収支を明確にすることができる。
こうしたアプローチは、当然、コストの適正配布基準という問題にも行き当たるため、これらの基準の見直しも課題の一つとして認識されることになり、それぞれのセグメントの直接原価だけではなく、配布される固定費の有効性も改善の対象となってくる。この点が解明されれば、企業の損益にかかわる重要な改善も期待できることになる可能性が増す。
ただ、実際に分析してみると、販売・管理費の配布基準を見直すのは予想以上に困難な場合が多い。それは、顧客や商品のウエイトを巡る貢献度に対する見解の相違である。これらは、長期的に見るべきか、直近の数値で捉えるべきか意見の分かれるところでもあり、場合によっては、担当者の既得権にも関わってくる。しかし、それを恐れては進歩がない。