こうした時は、「仮説が何故必要なのか」という原点に立ち返り、仮説思考の思考パターンとそのメリットをもう一度整理してみることである。仮説を立てるということは、「何を知りたいか」を明確に意識していることが前提である。ここを分析の出発点にすれば、「何を調べるか」が見えてくるので、無駄な分析に労力と時間を費やすこことを防止できる。
どんな高度な分析で得られた結果でも、目的に沿わないものであっては意味がないわけであるから、常に分析の目的を意識しながら進められるというのが仮説思考の最大のメリットである。もちろん、分析の過程で明確になった事実から新たな仮説を構築できることも期待できるので、大局的な視点で、説得力のあるストーリーを描けることにも繋がる。
ただし、仮説アプローチは、分析の途中で同じデータにより有用な情報が埋もれていることに気づいたとしても、最初の段階で意識から外してしまうことにもなりかねない。ここが仮説のメリットでもあり、デメリットでもあるともいえるが、初めから漠然とした網羅的アプローチをすることで焦点がボケてしまうより、初期の目的に集中することである。
さらに注意しなければならないのは、目的の確認があやふやであると、仮説もズレたものになってしまい、データ収集や分析手法の決定も的外れになり、目的に沿った分析結果も得られないことになる。例えば、売り上げの減少を商品や売り場の問題などという自社特有のものとして仮説を立ててしまうと、本当の原因(市場の衰退など)が見えなくなる。
また、分析者がその仮説に強い思い入れがあるといったような場合、分析のゴールをはじめから設定してしまい、その仮説を立証することにのみ傾注するため、その立証に役立たないデータを無視するといった場合もある。これは「確証バイアス」で、分析に対して真剣であればあるほど陥りやすい落とし穴である。自己チェックによる防止が必要である。