仮説思考というのは、仮説→検証を繰り返すことで正しい戦略を導き出す考え方であるから、仮説を検証するにふさわしいデータ分析が伴わなければ、仮説の精度は上がらないことになる。この一連のサイクルはPDCAそのものであるから、検証作業は仮説の実行プロセスにあたるが、その過程で得たデータを分析することが証作業ということになる。
したがって、仮説→検証の流れを円滑にするためには、「どんな目的のために」「どのようデータ」を収集し、「どのように整理されたデータ」が必要であるかを明確に定義しておく必要があるわけであるが、残念ながら財務会計ないし税務会計では、経営戦略の適正度を判断するためにアレンジされたデータは整っていない場合が中小企業には見受けられる。
社内に蓄積されているデータは、商品別売上データ、顧客別売上データなどであるが、これは「どの顧客」に「どの商品」を「いくら」で「いつ売ったか」を記録しておくことが目的であるため、どの顧客やどの商品がどれだけ貢献したかを分析するには不向きである。つまり、財務会計では、結果としての売上、原価、費用を明らかにすれば十分である。
しかし、これらのデータは、内容としては多くの顧客情報や商品情報を含んでいるので、少し手間はかかるが、必要な分析に適したように並べ替えれば、活用範囲はほぼ無限に広がる可能性がある。ただ、元データのままでは、仮説を立てるために活用するのは困難なため、社内に埋もれてしまっているのが現状であり、これはまさに宝の持ち腐れである。
さいわい、現在はエクセルの機能にVLOOKUPという関数やピボットテーブルなどが加わったため、これらの個別データを容易に紐づけできる。もちろん、業種や業態によっては、こうしたデータが蓄積できない場合もあるが、工夫次第では、行政の人口統計データ、消費動向データ、業界データなどを活用することで、確度の高い仮説が立てられる。