しかし、仮説を思いつくままに洗い出しすれば、その数は膨大なものになり、それらすべてを実行することは現実的ではないので、優先順位をつけて絞り込んでいかなければならない。ここで問題なのは、どのようにして仮説を絞り込んでいくかである。ベテランの経験や勘による場合もあるかもしれないし、データ分析結果を参考にすることもあり得る。
どちらがベターであるかは一概には言えない。例えば、次年度の売上予測を立てるといった場合、伝統的な陪審制により計画を策定し、そのなかには高成長を続けている企業もある。しかし、前述のようにデータ分析を積み重ねることで、優先順位を絞り込んでいく方法は、数値による根拠が明確に示されるので、関係者のコンセンサスが得られやすい。
この方法を使えば、原因と問題解決策の組み合わせがセットで示されるようになるため、PDCAサイクルが一回りするごとに、仮説の絞り込みがより確かなものになっていく。つまり、はじめは精度の粗い仮説であっても、データ分析により検証されることにより、効果的な戦略や戦術が打ち出せる可能性が確実に高まっていくことになるわけである。
こうした仮説・検証スタイルによる問題解決策は、どのような数値データが必要なのか、どのような分析方法が適切なのかを示唆してくれる。つまり、分析作業をどのよう行うべきかがはっきりするので、費用対効果という点からいっても合理的である。また、必要なデータが特定できれば、どのような情報源を探せばよいのかの見極めも容易になってくる。
仮説を列挙し、洗出し、優先順位をつけることは課題解決に向けて大きな第一歩である。しかし、これを実施する手段がセットされていなかったり、データ分析によりその結果を検証する手段が欠落していたのでは、殆ど意味がないことも事実である。しかし、それは仮説思考が役に立たないということと、別次元の事であることを認識しなければならない。