そこで、膨大なデータをとりあえず分析して、何らかの手がかりを掴みたいという思いで分析に挑むが、結局は何もつかめず迷路に迷い込んでしまう。こうした失敗を何度か繰り返すと、経営改善のために何か簡便な分析方法がないかという考えになり、分析手法を探すことがアプローチの出発点になってしまい、ますます課題が見えなくなってしまう。
こうした状況を打破するためには、何らかの手がかりを抽出し、課題を明確にする手がかりを示す必要がある。そこで、こうした時によく用いる手法が、これまで何度もふれた相関分析である。ただし、ここで行う相関分析は、直接仮説を洗い出すという性格のものではなく、あくまでも、経営状態がどんな構造になっていているかを俯瞰するためである。
この時用いるデータは、過去7年間の財務諸表(貸借対照表、損益計算書)である。まず、このデータを用いて財務分析を行い、その結果を相関分析により各指標間の相関係数に着目する。ただし、これだけでは不十分なことも多いので、できれば損益計算書についても同様の相関分析を行ってみる。すると、どんなところに課題がありそうか見えてくる。
すなわち、ここで行う相関分析は、経営の現状を一見して俯瞰できるヒントを提供することが主な役割である。ここまでの分析で何が課題かを見極めるベースができるので、このデータを踏まえて仮説の洗い出しに取り掛かる。このようにデータ分析は、その準備段階を相当吟味しなければならないことがあり、仮説の洗い出しはこの次の段階である。
ここまでくれば、根拠のある仮説が洗い出せるようになるので、どんなデータを用いて、どんな分析をする必要があるのかが把握できる。目的を明確にせず、ただ闇雲に必要と思われるデータを並べられても、数値の羅列にしか見えないはずであるが、分析を行っているという安心感に浸っている場合も多くみられ、仮説を立てる根拠にはたどり着けない。