一昔前の高齢者と違い、現在のシルバー世代は、孫以外から「おじいさん、おばあさん」などと呼ばれることを嫌う。これは、自分はまだまだ高齢者扱いされたくないという気持ちの表れで、決して見栄を張っているわけではない。しかし、そうした気持ち年齢とは裏腹に体力面では当然衰えを感じている筈で、このギャップをどう埋めるかが悩みでもある。
健康面では、「怪我や病気をしない」「生き生きとして生活をしたい」という2つの面があり、手軽で継続性のあるのは「食事を通しての健康管理」である。これには、乳酸菌や納豆、豆腐、海藻など体に良いとされる食品を多くとり、サプリメントなどの健康食品への関心も高い。それに加えて、ウォーキングやラジオ体操など適度の運動が定番である。
しかし、近年は、骨粗鬆症が原因の骨折などの「ロコモティブシンドローム」への関心が徐々に高まってきている。こうした感心への取り組みとして、介護予防の視点から運動プログラムも様々な形で提案されてきている。運動不足と疲労は表裏一体のものであるが、どちらかというと、「疲れない」に重点が置かれているため「軽い商品」が重宝されている。
こうした傾向を見ると明らかなように、怪我や病気に対する予防策と積極的で若々しくありたいという願望が、大きなビジネスチャンスとなり得ることが読み取れる。予防をメインに据えれば、多機能の体重計、血圧測定器、血糖値測定などを始めとする各種健康管理器具の開発が進んでおり、中にはスマート・バスルームなどのシステムも登場している。
また、積極的に健康生活をエンジョイしようと志している高齢者は、ジョギングやインターバル走法などで体を鍛えている。また、筋力の衰えを防止するため、スクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングを取り入れている人もいる。しかし、筋力トレーニングを自己流で行うと思わぬ怪我を招くこともあり、専門家の指導を仰ぐことも必要となる。