「あなたのために」という商品コンセプト

 

 シニアの購買態度や購買行動を基準に分類すると、5つの軸が抽出され、6つのグループに分類されることを確認した。しかし、実際に自分の「こだわり」と対応させてみるとピッタリと当てはまるという実感をもつ人は少ないのではないだろうか。それは、共通因子の負荷量によって振り分けられているためで、独自の因子は無視されているからである。

 実際にシニアマーケティングを展開する場合は、その人の個生(独自のこだわり)に訴求しなければ、堅いガードを打破することは出来ない。要するに従来型の若者向けのアテンション・マーケティングでは、高齢者には届かないということである。高齢者は、購買者という視点からすると、節約志向や興味の衰えなど若者とは大いに異なった存在である。

 それでは、どのようにして商品やサービスを認知してもらうかであるが、それには、まず、信頼関係を構築し、フアンになってもらう工夫をすることが肝要である。具体的には、提供する商品やサービスに「興味・関心を感じてもらう」ことである。一般的には、商品やサービスの客観的なメリットが大事だが、高齢者にとっては自分にとってどうかである。

 この商品は、「自分向きである」「このサービスは自分のために用意されている」と感じてもらうことができれば、興味を喚起する率は格段に向上する。それが実現できれば、企業側からのメッセージや説明に耳を傾けてもらい易くなる。電通ではこれを「自分ゴト化」と表現し、登録商標にしており、具体的に高齢者への訴求の仕方を研究・提案している。

 例えば、新発売のタブレットを、「こんなこともできますよ」というPRをするのではなく、「旅行の好きなあなた!こんなことに不便を感じていませんか」とか「お孫さんと、このようにコミュニケーションできたら楽しいと思いませんか」といった具体的な訴求方法である。ジャバネットタカタのあのかん高い語り口が、耳障りに感じないのはここにある。

 高齢になると、どうしても保守的になり、基本的には普段と変わらない平穏な日々を大切にしたいと思いながも、その範囲内で「小さな革新」により、「望ましい生き方」や「こうありたい」とぼんやりとイメージしている。別の言い方をすれば、小さな不満も数多く抱えているわけであるから、それを解決する商品やサービスがこれだと訴えることである。