しかし、実際に個々の高齢者が、自分はどのタイプ属するのかと考えたとき、必ずしもしっくりこないと感じる人も多いかも知れない。また、かつてはそうであったとしても、年齢層は変わりなくても、ライフステージが変化することで、かなり違った消費態度や行動に変化が生じてしまい、いずれのグループからも少し距離が離れてしまったと人もいる。
もっとも、こうした変化は高齢者にだけ生じる現象ではないので、一般の消費者調査でも常にありえることであるから、そうした意味では消費者調査には限界があり、分析結果を鵜呑みにするのは危険である。特に、現状をストレートに問う設問ではなく、「将来の希望」などを調査項目に含めると、実際の行動とはかけ離れた回答になり信憑性が薄くなる。
この調査のなかでも、「無駄なものはできるだけ買わないようにしている」とか「欲しいと思ったものはあまり我慢しないで買う方だ」などいう設問は、どの程度のことを言うのかがあいまいで、率直な回答が得られにくいかも知れない。つまり、その時に置かれている経済状況や体調などにも左右されるため、回答の基準軸がズレてしまう虞があるからだ。
したがって、60代、70代シニアの消費者意識や買物意識でグルーピングすることは、高齢者へのアプローチの切り口としては有効ではあるが、この分類によって市場を細分化できたと考えるべきではない。シニアの買い物行動は、年齢によって変化するのではなく、ライフステージの変化によって意識や行動の転換を余儀なくされる傾向が強いからである。
前述のように、疾病により長期の療養生活に入った、あるいは、家族の都合などで居住環境が著しく変化したなど、従来のライフスタイルを転換せざるを得ないといった状況が生じれば、家計の財政にも多大な影響を及ぼすことになるから、これらの変化を把握しないまま、同じパターンのアプローチをし続けるのは、全く意味の無いことになってしまう。