かつて団塊莉世代と言われたシニア層は、多様な価値観を持っている塊であると評されたが、今やシニア層の消費行動は、若年層に比べ非常に多様化し、従来のマス・マーケットとして捉えるのは難しくなっている。多様な価値観を持っているという特徴は変わりないとしても、高齢者になると健康面で大きな違いが生じてしまうため一括りにはできない。
その他にも、ライフステージの変化、家族のライフステージの変化、世代特有の嗜好性の変化、流行・生活環境の変化などによって、シニアの消費行動は変化するため、固定的な特徴だけで市場を捉えることは出来ない。つまり、加齢により、心ならずも「やりたいこと」が「できること」に変化する可能性が高く、それが消費のトリガーになってしまう。
このように他の世代と比べ確かに人数を多いが、みんな同じ消費行動をとるわけではない。戦後から高度成長期にかけて、多くの人が貧しさから脱出しようとした時代は、同じような所得レベルで、同じようなライフスタイルを追いかけたため、客層を大括りにしたマス・マーケティングで十分であっが、多様な価値観に支えられている現代では通じない。
しからば、どのような切り口でシニアを理解すればよいのだろうか。ヒントとなるのはやはり、加齢による変化である。加齢は誰にでも等しく起こる変化であり、それは大きく分けると、「身体」「感覚器」「認知機能」の3つに分類できる。白髪、シミ、皺などもそうだが、何よりも病気やけがなどの身体的変化は、最も大きな変化をもたらすものとなる。
次に気になるのは、見えづらい、聞こえにくいといった目や耳などの「感覚器」の変化、そして、もの忘れ、覚えられないといった「認知機能」の変化が遅かれ早かれ生じる。このような年齢効果は、超高齢化社会において生活者を対象とするすべての企業が共通に留意すべき点である。これからは商品計画においても欠かすことのできないポイントである。
第二の切り口は、世代効果である。価値観は人によって違うと述べたが、やはり、同じ時代に生まれ、同じ環境の下で育った世代特有の価値観というものはある。そして、もう一つは時代効果である。時代効果とは、年齢や世代を超えて社会全体の動きとして変化する部分のことである。例えば、生活様式の洋風化や経済の低迷に伴う節約志向などである。