クリエイティブなチームづくり

 

 われわれがよく誤解するのは、クリエイターは天才的で孤高の人であると思い込んでしまっていることである。しかし、「三人寄れば文殊の知恵」という諺かあるように、実際には、一人の天才より、多くのメンバーによって練られた方が、より豊かな成果があげられる。ただし、人数が多ければよいというものでもないので、チームづくりにも工夫がいる。

 一般的には、クリエイティブな人材が多数含まれるチームを結成すれば、その分クリエイティブな成果が期待できると考えがちであるが、必ずしもそうとは限らない。多様な能力やキャリアを持った人々が一緒に仕事をすることで、夫々の創造性が刺激し合ってよりクリエイティブな成果を上げることができる。ただしチームワークが必要なのは当然だ。

 全く知らない人同士が一緒に働かなければならないわけであるから、アイディアをうまく交換しあえるようでないと、高業績には結びつかない。つまりどんなにクリエイティブ人な材であっても、全員が同じような経歴であった場合、同じ題材に頼ってしまい、新しいアイディアが生まれ難くなるので、多様性を重視したチーム作りをしなければならない。

 イノベーションを起こすチームは、古くからの中間と新人の組み合わせであることが望ましい。新人は新しいアイディアを提供し、古参のメンバーは共同作業を行うための智慧を提供する。こうしたチームでは、それぞれの異なる分野で研究を行えば、その経験による恩恵を別のメンバーが受けることができるから、さらにグレードの高い成果に結びつく。

 このように、共通の経験と全く新しい視点が程よく組み合わさることで、新しい画期的な仕事を行うのに適しているのは、クリエイティブなアイディアに繋がる幅広い知識と、それを共有する効率的な手段をもったチームである。クリエイティブなチームが作れるとすれば、企業内にスモール・ワールド・ネットワークを作ることも可能になる筈である。

 組織が、スモール・ワールド・ネットワークとなり、必要に応じて適した人材によるチームを作ることができれば、その組み合わせによって、メンバー同士が効率的に交流できるようになり、その組織はクリエイティブな成功を続けられる可能性が高くなる。このように考えてみると、クリエイティブな成果はネットワークに依存するということにもなる。